映画評523 ~ アジャストメント

今回は「アジャストメント」

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『マイノリティ・リポート』などの原作者フィリップ・K・ディックの短編小説を、『ボーン』シリーズのマット・デイモン主演で映画化したサスペンスアクション。第三者によって運命を支配された現実を舞台に、巨大な陰謀に立ち向かう男の奮闘を描く

主演は、マット・デイモン
共演は、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、ジョン・スラッテリー、マイケル・テリー
その他、テレンス・スタンプ、ローレンス・レリッツ、スティーヴ・ソーレンソン、フィリス・マクブライドなど

<ストーリー>
政治家のデヴィッド(マット・デイモン)は、ある日、バレリーナのエリース(エミリー・ブラント)と恋に落ちる。しかし、突如現れた男たち、「アジャストメント・ビューロー(運命調整局)」によって拉致されてしまうデヴィッド。彼らの目的は、本来愛し合う予定ではなかったデヴィッドとエリースの運命を操作することだった


これは、ハリウッド映画の典型的なお話と言うか・・・

「巨大な陰謀に立ち向かう」と言ったって、主人公デヴィッドは、「立ち向かう」というよりは、相手の言うことに逆らうだけで、むしろ逃げ回っている。

しかし、最後の決め手は、やはり「愛」
今回は、何と「愛」が「運命」をも変えてしまった、というお話だ。

「愛が勝つ」という「運命」だった、というわけではない。
本来は、「愛してはいけない運命であった」二人だったのに、それでも我慢できない二人が、運命に逆らって愛し合い、そして最後にはその運命さえも変えてしまう。

見ている人の中には、感動できた人もいるかも知れないが、「じゃあ、運命っていったい何なんだ」という命題には、まったく答えてくれない。

要は「愛はとにかく強い」というテーマが先にあって、では今回「愛」が打ち勝つ相手は何にしようかと考えた結果、「よし、運命にしてやろう」ということなのだろうか。

つまり、これを受け入れられなければ、この映画は面白くないと思う。

それにしても、今回「運命を司る(調整する)面々は、実に人間臭い。
ミスが多いし、修正が何度も入る。
運命って、こんなものでいいんだろうか、というほどいいかげんだ。

それに、今回の主人公であるデヴィッドは、いずれ「大統領になる」と運命づけられた男。
かたや、ヒロインであるエリースも「世界的なプリマドンナそして振付師になる」と運命づけられている。
この二人は、本来「愛し合ってしまうと、それぞれがダメになってしまう」運命にあった。

しかし最終的には、二人は愛を成就させたあげくに、男は大統領に、女は世界的なバレリーナになる、というとんでもない「アメリカンドリーム」を成し遂げてしまうことになる。
何だか、「それでいいの?」という内容だった。

もちろん、「運命を調整する」とか、「時間の扉」のようなものが出てくる展開は、なかなか面白かった。
なので、この作品は、好き嫌いが分かれる作品だと思うが、少なくとも私はあまり好きではない。
しかも、マット・デイモンは、あまり強くはなかったし・・・

ということで、評価は「C」にします。
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映画評522 ~ プリンセス・トヨトミ

今回は「プリンセス・トヨトミ」

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「鴨川ホルモー」などで知られる人気作家・万城目学の直木賞候補にもなった小説を、『HERO』の鈴木雅之監督が映画化した歴史ミステリー。会計検査院による査察をきっかけに、約400年もの間守られてきた秘密が発覚し、大阪中を巻き込む大騒動に発展していくさまを描く。

主演は、堤真一
共演は、綾瀬はるか、岡田将生、沢木ルカ、森永悠希、笹野高史
その他、和久井映美、江守徹、宇梶剛士、平田満、玉木宏、中井貴一など

<ストーリー>
会計検査院の調査官である松平元(堤真一)、鳥居忠子(綾瀬はるか)、旭ゲーンズブール(岡田将生)の3人が、府庁など団体の実地調査のため東京から大阪にやってきた。順調に調査を進める中、不審な財団法人を見つけ徹底的に調査するが、変わった様子もなく引き上げようとしたとき、大阪国総理大臣と名乗る男が現れる。そして、大阪中を巻き込む思いも寄らぬ事態へと発展していき・・・


妙な映画だった。

一言で言えば「20世紀少年」の大人版、みたいな感じだ。

荒唐無稽なストーリーだけだったらまだ良かったのに、最後は「あざとい」ことをしようとしたために、全体がダメになってしまったと思う。

登場人物が、「松平」だの「長曽我部」だの「真田」だの「蜂須賀」だの、それらしい名前を散りばめていて、いかにも「大阪夏の陣」に関係する話を演出しようとしていたのだが、如何せんしょぼい。

キャストにしても、かなりの好メンバーであったにもかかわらず、何なんだろう、このがっかり感は。
もちろん、綾瀬はるかは素っ頓狂すぎるし、岡田将生は頭良さそうには見えなかったけど、脇役陣はなかなかのものだった。

にもかかわらず、全体的にしょぼかったのは、とにもかくにも「大阪が独立国であった」という前提で話を進めているところ。

いくら大阪人が独立したがっているとは言え、全国各地からビジネスマンやら商売人やら集まってくるというのに、彼らに対しては、いったいどのように対応するのだろう。

失礼ながら、鳥取・島根や高知・徳島あたりであれば、独立してもあまり話題になりそうにない(?)のだが、大阪なんて、まず誰にも知られずにこっそり独立なんて、ゼッタイにあり得ないだろう。

映画の中でも、ある「サイン」を下に、大阪国人が一斉に立ち上がり、街中から人が消えるシーンがあるだけど、他地方から来ている人たちは、いったいどこへ行ったの?

しかも、立ち上がったのは男ばかり。
じゃあ、女性と子供は?

そもそも、大阪人の定義は?

主人公である松平も、お父さんは大阪人だったということだ。
でも、松平自身は、大阪弁を話していなかったし、大阪人ではない。
にもかかわらず、お父さんは、息子である松平に「大阪国」の話をしようとする。
松平自身が、それを拒否したとしたら、そこから話が漏れることだってあり得るだろうに。

しかし、そういう荒唐無稽な設定であったとしても、それで最初から最後まで突っ走るのであれば、何とかなっただろうに・・・

それがダメになったのは、最後に教訓めいたものでまとめようとしたから。

代々、父親から息子へ大阪国の話を伝えていく、という話を聞いた松平が「(息子さんたちは)そんな話を信じますかね」と言うと、総理大臣である真田は「大丈夫です。それは父親の言葉だから」と答える。

何ともウソ臭い話ではないか。
どうして、そんな説教めいた話でまとめようとしたのだろうか。

この時点で「あ~あ」になってしまった。


細かいところを言えば・・・

豊臣の末裔は、プリンセス(王女)である少女たった一人だけだった。
どうして一人だけなの?
彼女の両親は?
まあ、ホテルの中で「小さい時に亡くなった」という話は出てくるのだけど・・・
そのまた親、さらにその親は、いったいどうなったの?

それから・・・

真田は、「父親が(大阪城の真下にある議事堂へ通じる)息子を連れて地下道に入るのは、自分の死期が近づいた時だけ」と言っていた。

だとしたら、女性になりながっていた自分の息子・大輔を地下道へ連れて言ったのは、自分の死期を悟ったからだ、ということになる。
しかし、その後彼の身に何も起こらなかった。
松平との対決(?)の最中に、密かに拳銃を持った男が弾を発射するのだが、撃たれたのは、真田ではなくて松平の方だった。

なぜ?
どうして、あんな展開にしたの?

あと・・・

綾瀬はるか演じる鳥井が、王女を拉致(?)した際、携帯電話を落としてしまうのだが、その後鳥井がそれに気が付いた様子はない。
それどころか、松平や旭に連絡しようとする気配さえない。

彼女は、大阪に遊びに来たわけではない。
彼女が、5時に松平と真田の会談が行われるのを知らなかったとしても、何からの連絡を取るのが普通だろう。

さらに、街中から人が消えた際にも、誰にも連絡を取ろうとしないで、そのあたりを駆け回るだけ。
不自然なシーンだった。

それ以前に・・・

王女が鳥井によって拉致された先は、ホテルの中だった。

タクシーに連れ込まれた時にも、かなり抵抗していたし、部屋から脱出しようとしたこともあるのだけど、それだったら、どうやってホテルの部屋まで連れてこられたの?
当然、フロントを通っているはず。
黙ってついてきたのか?

さらに・・・

松平たちによって査察に入られたOJOは、松平たちが帰った後、彼らに目撃されることもなく全員がいなくなる。

これが、松平に不信感を与えるきっかけになるのだが、そもそも、どうして「全員」で行っちゃうわけ?
松平に限らず、どこから誰が来るかも知れないというのに、普通誰か一人くらい置いておくだろう。

とにかく、全編こんな感じで、違和感の塊のような話だった。

そもそもが荒唐無稽な設定なのだから、そこまでツッコむのは野暮なのかね知れないが、何せ最後「感動路線」に持っていこうとしたせいで、何とも後味の悪い作品になってしまったような気がする。

ただ、展開が気になって、最後まで飽きなかったのは事実。

ということで、評価としては、「D」に近いぎりぎり「C」ということにしておきます。


それにしても・・・

昨年見た「さらば愛しの大統領」でもそうだったけど、そんなに大阪って独立したがってるんだろうか。

たぶん、全くまとまらないと思うのだけど・・・

映画評521 ~ パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉

今回は「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」

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自由奔放な海賊キャプテン・ジャック・スパロウをジョニー・デップが演じる人気シリーズ第4弾となるアクション・アドベンチャー大作。永遠の命をもたらす伝説の泉をめぐり、ジョニー・デップ演じるジャックが新たな冒険を繰り広げる

主演は、ジョニー・デップ
共演は、ペネロペ・クルス、ジェフリー・ラッシュ、イアン・マクシェーン、サム・クラフリン、アストリッド・ベルジュ=フリスベ
その他、ケヴィン・R・マクナリー、キース・リチャーズ、スティーヴン・グレアム、ジュディ・デンチ、リチャード・グリフィス

<ストーリー>
美しい女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)と再会したジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)。しかしジャックは、アンジェリカが不死の泉を見つけ出すために自分に近づいたのではないかと疑いを抱く。アンジェリカと史上最強の敵である黒ひげ(イアン・マクシェーン)と共にリベンジ号で船出したジャックだったが、そこには予想だにしない冒険が待っていた


さて・・・何と言えばいいのか。

少なくとも、前3作とはまったく違う内容、というのか、これまでの流れはまったく関係ないみたいだ。

まず、今回初登場の女海賊アンジェリカは、なぜかジャック・スパロウとは「再会」という形なのだが、前作までに一度も出ていないのに、いきなり「再会」と言われても、ちょっと違和感がある。

しかも、そのアンジェリカは、最強(?)と恐れられる海賊・黒ひげの娘、ということなのだが、この黒ひげも、何だかよくわからない海賊だ。
奇妙な魔術(?)を使うのだが、その割にはたいしたことがないし、最後はあっさりとやられてしまう。
前作まで出ていた化け物のようなディヴィ・ジョーンズの方が、よっぽど貫禄があるし、存在感がある。

そして、人魚。
最初は、「船乗りを海に誘いこんで、そして最後には食べてしまう」という恐ろしい化け物として出てくるのだが、途中からは、なぜか「涙を絞り取るために、拉致されて虐げられてしまう」かわいそうな妖精みたいな感じになってくる。

しかも、なぜだか一人だけ生き残った人魚が、なぜか一人だけ殺されずに捕らえられた牧師フィリップと恋に落ちてしまう、というハリウッドのお決まりパターンが出てきて、唖然とする。
どうせなら、最初から「かわいそうな人魚」として描けばよかったのに、と思う。

さらには、意味なく現れては、意味のない行動ばかりするスペイン人。
最初は、聖杯を狙っていたはずなのに、「生命の泉」が目当てなのかと思っていたら、何とせっかく手に入れた聖杯を踏んづけた上に、泉のある遺跡をぶっ壊し始める。
じゃあ、あの時聖杯をじっと眺めていたのは、何のためだったの?

しかも、突如大勢で現れるし、ジャック・スパロウたちは、いつもどうして気が付かなかったのだろう。

こんな風に、登場人物がムチャクチャにもかかわらず、意外にも飽きることなく物語は進む。

展開がスピーディーだからなのか、単に適当に繋げているだけなのかはわからないが、途中でダレることがない。
所々に「え?」と思うのだが、その気持ちも次の展開の中でかき消されてしまう。

だから、終わってみると、あまり余韻が残らないものの、変な違和感も残らない。
「ハラハラ・ドキドキ」や「笑い」もあまりなかったと言えば、なかったし・・・

ということで、評価は「C」とします。


あと・・・

何となく、エンドロールの後にちょっとしたエピソードがありそうだったので(第3作でも、しょうもないやつがあったし・・・)長い長~いエンドロールの後で出てきたものは・・・

しょうもな!

あんなもののために、ダラダラと長いエンドロールを見たので、エラく疲れた!

まあ、間違いなく続編がある、というか、まだまだ続きそうだ。


それから・・・

ジュディ・デンチは、ほんのチョイ役でした。

映画評520 ~ 星を追う子ども

今回は「星を追う子ども」

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『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』などで熱烈なファンを獲得した新海誠監督が手掛ける、孤独な少女の冒険の旅をファンタジックに描くアニメーション


<ストーリー>
父親の形見の鉱石ラジオから流れる不思議な音楽に耳を傾けながら、思いをはせるアスナ。孤独な毎日を送るアスナは、ある少年と再会するための旅に出ることにする。それはアスナにとって、世界の冷酷さと美しさ、そして別れを知るための冒険の旅となる。


何と言えばいいのか・・・

一言で言うと、「天空の城ラプュタ」と「もののけ姫」を足して2で割ったようなアニメだ。

いや、登場人物はまったく違う。
アスナとシン(またはシュン)の関係は、シータとバズーの関係とは違うが、何となくそんな二人に見えてしまう。
また、モリサキ先生とムスカ大佐とは、役割から何からまったく違うが、それでも二人は重なってしまう。
そして、出てくる化け物たちも、先に挙げた2つの作品に出てくるキャラクターによく似ている。

では、この2つのアニメのように面白かったのかどうかと言えば、これが今いちよくわからない。

そもそも、アスナの父親は何者で、なぜあの鉱石を持っていたのか。
その説明はなかったような気がする。

モリサキ先生も、謎の人物だ。
ただの先生とは思えないし、昔は軍隊か何かにいたようだけど、これまたよくわからない。
妻を生き返らせようとしているのはわかるが、それにしては執念の塊のような男で、とても「妻がいなくなった今、生きていく意味がない」と言っているようなヤワな男には見えない。

そして、シュンはいったい何をしに地上へ出てきたのか。
アスナが持っている鉱石を手に入れようとしていたわけではないので、余計にわけがわからない。

結局、アスナ以外の登場人物がよくわからない者ばかりだし、悪者と言うべき登場人物はほとんどいないので、主人公アスナに感情移入しにくくなっている。

なぜなら、別に「応援する」とか「がんばれ!」とか言いたくなるような展開にはならないからだ。

そんなわけで、最初から最後まで、ただ淡々と見ているだけで、特に「面白い」とか「感動した」とかいう場面もなく、ほぼ無表情のまま終わってしまったような気がする。

画はきれいだったと思うのだが、ここまでストーリーに入っていけないと、見終わった後、何も残らない。

面白そうだったのに・・・

ということで、評価は「C」にします。


細かいところで言えば・・・

途中、イゾクと呼ばれる化け物が出てくるのだが、これにアスナが捕まってしまう。
その時は、シンのおかげで助かるのだが、その後も、このイゾクたちが何度もアスナたちを襲う。
それは彼らを食べようとしているからだ、と言っている描写があったのだが・・・

だったら、アスナを捕まえた時、どうして食べなかったのか?

アスナが廃墟のようなところに放置されていた時から、違和感はあった。
「イゾクは、いったい何をしたかったのか」というのがわからなかったからだ。

ここは、展開としておかしいと思う。

映画評519 ~ アンノウン

今回は「アンノウン」

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ベルリンを舞台に繰り広げられるアクション・スリラー。交通事故から目覚めると妻が自分のことを忘れ、別の男が自分に成り済ましていた上に、何者かに命を狙われる羽目になった男が、奪われた身元を取り戻そうと奮闘する

主演は、リーアム・ニーソン
共演は、ダイアン・クルーガー、ジャニァリー・ジョーンズ、エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ
その他、フランク・ランジェラ、セバスチャン・コッホ、オリビィエ・シュニーデル、ライナー・ボックなど

<ストーリー>
ベルリンで交通事故に遭ったマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)が意識を取り戻すと、妻が自分のことを忘れ、見知らぬ男(エイダン・クイン)が自分に成り済ましていた。異国の地で身元を証明する手だてがない中、彼は訳も分からぬまま何者かに命を狙われる羽目に。タクシー運転手ジーナ(ダイアン・クルーガー)の協力を得て、マーティンは真相究明に乗り出すが・・・


これは、なかなかのドンデン返しだった。

冒頭から「怪しい」感じだったけど、まさかこんな展開とは・・・

妻が、自分のことをまったく覚えていないなんて、「まさか、未体験ゾーンなのか?」と思っていたが、そのような雰囲気はまったくないまま話は進む。

途中、謎の暗殺者とのカー・チェイスでは、あまりの運転のうまさに「これって、いつものリーアム・ニーソンじゃん」と思っていたが、まさか・・・

そういう意味で言うと、かなり騙された感じだ。

しかし、そうしてみると、逆に前段の設定にやや違和感が残る。

まず、なぜ主人公ハリスは、あのような大事なトランクを空港に忘れてしまったのか。

これがそもそもの事件の発端だから、ここに違和感があると、全体に影響するものなのだが、最初の段階では、そこまで言うのは酷だろうか。
とは言え、あの「忘れ方」は、とても○○○のプロとは言えまい。

あと、敵に襲われた時には、咄嗟に「本来の動き」が出てしまうと思うのだが、その時点で、自分自身に驚かないものなのだろうか。

それは、昔の映画「ロング・キス・グッドナイト」も、同じようなプロットだったのだが、そこでは、確かそのような「描写」があった。

それがなかったせいで、最後の最後まで展開が読めなかったわけだけど、話の組立としては面白いものの、話の筋としてはちょっと違和感がある。

それから、主人公を助けようとした女性(元タクシー・ドライバー)は、車の運転はともかく、主人公が誘拐される場面とか、その主人公が連れていかれた先を見つけるのが簡単すぎる。

偶然にしては、あんなに一目のつくところで誘拐するのも変だし、どこへ行ったのか見失っていたのに、たまたま駐車場の上の方にいたのが見えたとか、展開が都合よすぎる。

そして最後。

主人公が、自分の素性に気が付いた後の行動。

アンタは、もともと○○○なんじゃなかったのか?
それが、何であんな行動を取るの?

いくら何でも、その説明はつかないだろう。

ついでに言うと、暗殺者集団は、ちょっと弱すぎる。
元タクシー・ドライバーの女性に、あそこまで簡単にやられるなんて・・・

ということで、リーアム・ニーソンの演技は相変わらずシブかったし、ドンデン返しには「おっ!」と思ったけれど、ちょっと展開に違和感があったので、評価は「C」にします。

映画評518 ~ 岳

今回は「岳」

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人気コミック「岳 みんなの山」を原作に、山岳遭難救助をリアルに描いた山岳ドラマ。

主演は、小栗旬
共演は、長澤まさみ、佐々木蔵之介、石田卓也、矢柴俊博、やべきょうすけ
その他、浜田学、波岡一喜、ベンガル、宇梶剛士、光石研、市毛良枝、渡部篤郎など

<ストーリー>
世界の巨峰を登り歩き山をこよなく愛する島崎三歩(小栗旬)は、山岳救助ボランティアとして登山者の命を守ってきた。春、長野県警山岳救助隊に配属された椎名久美(長澤まさみ)は三歩の指導のもと成長していくが、実際の現場では遭難者を救うことができず自信を失っていた。そんなある日、猛吹雪の冬山で多重遭難が発生し、久美は仲間と共に救助に向かう


う~ん、参った!

山の景色は、とても綺麗だった。

しかし・・・

一言で言うと・・・

安っぽい!

わかりやすく言うと・・・

「海猿」の山岳バージョン、つまり「山猿」という感じ。
いや、もちろん悪いイメージで。

小栗旬演じる三歩は、まずまずだったと思う。
序盤で、いやにニコニコしているなあ、とは思っていたが、その理由は後で明かされるので、ある程度納得はできた。
それにしても、ノー天気すぎるというか、緊張感なさすぎだけど・・・

しかし、長澤まさみ演じる椎名久美はないだろう。

あまりにも華奢すぎる。
あんなので、山岳救助なんかとてもできるとは思えない。
と言うか、できるわけがない。

「海猿」で言えば、伊藤淳史の役に近い。
見ていて「いくら何でも、お前はムリだろう」というタイプだ。

しかも、新人のくせに独断で動くし、発想もガキみたいで、見ていて感情移入できない。

この久美は、映画の中で2度も死にそうになる。

1度目は、スニーカーで登山中に捻挫した登山者に怒りをぶつけた後、山道を降りる途中、ただ普通に歩いていただけなのに、いきなりガケ下に滑り落ちてしまった。
いったい、どこを見て歩いていたのか、というシーンだった。

そして2度目は、初心者である娘を雪山に連れていったバカ親が遭難した際、何とか娘を助け出したのだけど、父親が取り残されてしまった時、これまた独断で父親を救出するために、ぶら下がっていたロープを断ち切る。
ムチャな行動でもある上に、その後の父親に対する処置もメチャクチャだ。
何と、クレバスの氷に挟まれた父親の脚をぶった切ってしまう。

それ以前に、脚が氷に挟まれたという状況がよくわからなかった。
ピッケルで砕こうとしても、まったく割れない氷なのに、いったいどうやって脚が挟まってしまったのだろう。
まさか、まだ雪の状態だったのに、脚が挟まれた後、急に氷になった?
何だかよくわからなかった。

その上での、脚の切断。
あんなところで脚を切ったら、出血多量で死んでしまうだろうに。
いったい、どうやって止血したんだろう。

2つとも、重要なはずのシーンなのに、どうにも理解できなかった。

さらに、序盤で、久美は隊長の命令を聞かずに、ガケから落ちて負傷した登山者を、背負って降りようとする。
とても背負えそうにない、ちょっとがっしりした体形の男性だった。
結局、その直前に死んでしまうのだけど、背負える相手がどうか、見てわからなかったのだろうか。

とにかく、場当たり的で、しかも的確な判断もできないくせに、やたらと反抗する。
これが男なら、最後には「お前も、成長したなあ」という展開にできるのだろうけど、こんな華奢な女なら、たぶん無理だと思う。


そもそも、冒頭から「ん?」だった。

一人で山に入った登山者が、靴についた雪が重い、ということで、わざわざ靴底の部分を取り外して、「いやあ、楽ちん、楽ちん」とか言いながら登山を続行していた。
こいつはアホか?
そんなヤツがいるとは、とても思えないが・・・

しかも、この登山者、ラストにも登場するくらいだから、それ相応の「愛好家」に違いない。
にもかかわらず、雪山に登るのに、こんなバカなことするヤツっているの?

先に挙げた、結婚式直前の娘を登山に誘った父親にしてもそう。
普通、初心者を雪山なんかに連れていくかね。

「雪山をナメている」という以前に、そんなの山を目の前にすれば気が付くだろう。
「こりゃあ、ムリだ!」ってことを。


その他のキャストについては、まずまずだったと思う。

隊長役の佐々木蔵之介は、最近いい役者さんになったと思うし、今回もなかなか良かった。

渡部篤郎も、存在感があった。
この人は、主役をやらせると、下手なのが目につく役者さんだけど、こういうチョイ役だと、なかなかシブい。

子役は、相変わらずヘタだったけど・・・

ということで、最終的には「C」かなあ、という状況だったのだけど、終盤で一変。

久美が窮地に陥った際、佐々木蔵之介演じる野田隊長の元上司が、実は椎名久美の父親だったことが明かされる。

えっ?

久美って、自分の配属された先が、以前父親がいたところって、知らなかったの?
少なくとも、そんな描写はなかったし。

それと、野田は、最初久美に会った時に「お前、誰だ?」と言っていた。
ということは、元上司の娘だと知らなかった、ということになる。
上司(久美の父親)が死んだのは、まだ小学校に入る前だった、という設定なので、わからなかったとしても不自然ではない。
だとしたら、いつそれを知ったの?

久美「私の父親は、以前山岳救助の仕事をしていました」
野田「えっ? 椎名って・・・お前は、もしかして椎名隊長の娘なのか?」
久美「えっ? 父はここで働いていたんですか?」

・・・などというやり取りは一切なかった。

これが、最後の最後に「実は・・・」という展開であれば、まだわかる。
しかし、野田隊長が唐突に「あいつの父親はなあ・・・」と言い出した時には、ビックリした。

こんな脚本って、あり?


とにかく、全編こんな感じ

細かいところを突っ込めば、まだある。

残念ながら救出できずに亡くなってしまった息子を前に、山岳救助隊の一員でもないのに、むしろ一般人にもかかわらず助けようとしてくれた、と感謝してもおかしくないのに、三歩をぶん殴った父親とか・・・

12名の大量遭難という状況を迎えて、「10名助かったし、あと2名も大丈夫なはず」というだけで、あれだけ救助隊が大喜びするはずないだろう、とか・・・
しかも、この時には、先にあげた結婚式前の娘とその父親が残っていたのだが、猛吹雪の中、「救助に成功!」という連絡は、まだ入っていないというのに。

そして、何よりも、猛吹雪の中を走り回っている三歩には、いつも雪がほとんどついていない、どころか、髪はまったく乱れていなかったし・・・

あまりにも多くて、いくつかは忘れてしまったくらいだ。


そういうことなので、最終的には評価は「D」にします。


もしかして、私の見落としばかり?

映画評517 ~ 鬼神伝

今回は「鬼神伝」

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平安時代にタイムスリップした15歳の少年が、鬼対人間の戦いに巻き込まれながらも奮闘する歴史アニメ

声の出演は、小野賢章(天童純)、石原さとみ(水葉)、中村獅童(源雲)など


<ストーリー>
父親を7年前に事故で亡くし、母と2人で暮らす京都の中学生・天童純。ある日の学校帰り、突然現れた謎の魔物に追い掛けられた純は、ある寺に迷い込み、時空を超えて平安の都に連れて行かれてしまう。平安の都では鬼と呼ばれる者たちがさまざまな妖術を使って自然を操り、都の安寧を脅かしているという話を貴族から聞いた純は・・・


これは、「まあまあだけど、ちょっと?」といったところだろうか。

まず、あまり画がうまくない。
主人公だけでなく、ヒロイン(水葉)や源雲なども、中途半端な姿かたちなので、見ていてぱっとしない。

それと、声優たちも今いち?
特に、主人公を演じた子と、水葉を演じた石原さとみは、良くない。
どうして、わざわざ石原さとみなんか起用したのか、よくわからない。

それに対して、源雲を演じた中村獅童は良かった。
いい声をしているし、最初から最後まで「誰なんだろう」と思ったくらいだから、声優としては合格だと思う。

物語の方は・・・

まあ、「なるほどね」と言う程度。
いろんなアニメから寄せ集めたような内容なので、随所に「これって、どっかで見たことあるような気が・・・」という場面が出てきた。
源雲が最後正体を現したところと、相対するヤマタノオロチが空から現れた時の描写なんかは、そのまま「もののけ姫」の「でいだらぼっち」だった。

とは言え、こういう物語では、とにかく主人公たちに感情移入ができるかどうかがポイント。
だから、いくら弱い少年であっても、最終的に強くなるのであれば、それはそれで問題ない。

しかし、今回の主人公・天童純は、とにかく迷う。

「ホントは戦いたくないんだけど・・・」と言いながら、やむを得ず敵を倒す、というのであれば、まだ許せる。
しかし、この主人公は、終始迷う。
にもかかわらず、最後は「怒り」の塊のようなものになって源雲をやっつける。
これって、単に「半狂乱」になっているようにしか見えない。
「我を忘れて」という状態だ。
とても「正義のため」とか「争いを終わらせるため」とかいった状況には見えない。

こんな少年には感情移入などできない。

一方、源雲や頼光などは、まったく悪人には見えないので、逆に違和感がある。
しかも、最初現れた「鬼」は、どう見たって単なる化け物であって、人間が化けたものには見えない。
こちらの方が「実は正しかった」などという展開そのものに違和感がある。
だとしたら、あの「巨大な鬼」や「大グモ」のようなものって、いったい何だったんだろう。

さらに、根本的な問題として・・・

天童純は「鬼」の子孫であったにもかかわらず、なぜ源雲は現代から呼んだりなんかしたんだろう。
自分たちの敵であり、しかも「ヤマタノオロチ」を意のままに動かせる人間を、わざわざ呼び寄せる意味がわからない。
いくら、主人公を騙して味方につけ、ヤマタノオロチをも手に入れようとしたとしても、情勢は明らかに源雲側に有利だったはず。
そのせいで、源雲たちは負けてしまった。
まあ、頼光などは、「我に返った」という形だけど・・・

このあたりの展開が、ちょっと納得がいかない。

ということで、全体的にあまり面白く見ることはできなかった。

ということで、評価は「C」にします。


ただ・・・

主題歌はすばらしかった。
珍しくエンドロールの場面になっても席を立たなかったのは、誰が歌っているのか知りたかったから。

歌っているのは福原美穂という若い女性だった。
歌のタイトルは「STARLIGHT」
さっそく、帰ってYoutubeで聞いたけど、これはいい!

映画評516 ~ 阪急電車 片道15分の奇跡

今回は「阪急電車 片道15分の奇跡」

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始点から終点まで片道15分のローカル線、阪急今津線の電車内を舞台にした、有川浩の小説を映画化した群像ドラマ。乗客たちの目を通して、偶然同じ車両に乗り合わせた人々の人生を映し出していく。

主演は、中谷美紀
共演は、戸田恵利香、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜
その他、小柳友、勝地涼、玉山鉄二、相武紗季、宮本信子など

<ストーリー>
阪急今津線の車両内。白いドレスを着て結婚式の引き出物を抱えた女性(中谷美紀)に、見知らぬ老女が声を掛ける。一方、暴れる彼氏を前に動揺する若い女性(戸田恵梨香)。降りる彼を追う彼女にもまた、老女が声を掛けるのだった。


これは良かった!

「感動した!」とか「大爆笑」とかいうものではないけれど、ほのぼのとして、しかもよく出来ている。
もちろん、所々笑いあり、「ほっ」ありで、とにかく秀逸。
最初から最後まで、飽きることなく見ることができた。

物語は、婚約者にフラれたOL(中谷)と、DV男に振り回される女性(戸田)、犬好きなのに犬を決して飼おうとしないおばあちゃん(宮本)とその孫娘(芦田)、さらにはPTAの付き合いに引っ張り回されているお母さん(南)、軍オタ(勝地)と草オタ(谷村)の大学生カップルなど、まったく関係のない人たちが別々に登場し、最後にはいろいろな形で関係してくる。
しかも、不自然な形ではなく、ごく自然に絡んでいた。

このあたりの展開が、実に見事だった。

まず中谷美紀がいい。
なかなかの好メンバーが揃う中、主役としての存在感はバツグンだ。

そして、宮本信子の存在も重要だ。
随所に出てきては、他の登場人物とのつなぎ役をうまく演じている。

勝地涼と谷村美月の大学生カップルも、ほのぼのとしていい。

それから、芦田愛菜ちゃんは、やっぱりうまいと思う。

戸田恵利香の演じるDV男に振り回される女は、ちょっと頭が軽そうだったので、最初は感情移入できなかったのだが、友達役の相武紗季がそれを相殺してくれる。
その結果、戸田までが立派な女性に変身し、宮本同様に他の登場人物とのつなぎ役をうまく演じていた。

最後まで気になったのは、「少女A」として登場した女の子と、うるさい関西のおばちゃんたちの顛末。

少女Aの方は、何を悩んでいるのか、どうして名前が表記されないのか。
おばちゃんの方は、さすがに南果歩では「アンタたち、うるさいよ!」とは言えないと思ったから。
しかし、それも中谷と宮本がちゃんと解決してくれる。

片道15分の路線(阪急今津線)の往復の中で、よくもここまで話を展開させられたものだ、と感心した。

この阪急電鉄は、学生時代によく利用した鉄道だったということもあり、未だに変わらないこげ茶色の車両は、とても懐かしい感じがした。

そんなこんなで、ほのぼのとできてとても満足したので、評価は「A」にします。



ところで・・・


劇中で出てくる戸田演じる女性とDV男が電車内で交わしていた会話。

こんな感じだった。

「あの人、白いドレスなのに、引き出物を持ってるって変」
「だから、何だよ」
「普通、結婚式って、新婦以外は白を着ちゃあいけないの」
「だから、何なんだよ」
「男の人って、ホントに無知ねえ」

これには笑った。
なぜなら、私もこのDV男とまったく同じだったから。

最初、中谷演じるOLが自分を裏切った元カレと後輩との結婚式に出席する際、白いドレスを着ていて、まわりからジロジロと見られていたのだが、私としては、何をそんなに見ているのかさっぱりわからなかった。

なるほど、「結婚式では、新婦以外は白いドレスを着てはいけない」って、男性の多くは知らないと思うし、「別にいいじゃん」とも思っているはずだ。
この会話のシーンがなければ、この映画の前半部分はまったく意味不明で、つまらないものになっていただろう。

まあ、それが狙いなんだろうけど・・・
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