映画評526 ~ アンダルシア 女神の報復

今回は「アンダルシア 女神の報復」

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『アマルフィ 女神の報酬』、テレビドラマ「外交官・黒田康作」に続き、真保裕一の小説を基にした織田裕二主演のシリーズ劇場版第2作目となるサスペンス大作。海外で極秘任務を遂行する「邦人テロ対策室」に所属する主人公が、日本人投資家殺人事件の真相を究明すべくスペインで国際犯罪の闇に立ち向かう姿を描く

主演は、織田裕二
共演は、黒木メイサ、伊藤英明、戸田恵利香、鹿賀丈史、夏八木勲
その他、福山雅治、谷原章介、大杉漣など


<ストーリー>
スペインとフランスに挟まれた小国アンドラで、日本人投資家の殺人事件が起こり、パリにいた外交官・黒田康作(織田裕二)が調査に乗り出した。しかし、遺体の第一発見者、銀行員の新藤結花(黒木メイサ)は何者かに狙われ、インターポール捜査官の神足誠(伊藤英明)は捜査情報を隠そうとする。そんな中、黒田に最大の危機が訪れ・・・


実に淡々とした展開だった。

サスペンスだから、それなりの推理劇もあり、適度にアクションもあり、最後には2段構えのドンデン返しまであった、というのに・・・

何なんだろう、この空虚な気持ちは。

とにかく、序盤からハラハラ・ドキドキ感がまったくなかった。

谷原章介演じる川島が、スキーをしていて、いきなり危険防止網を突き破るものだから、「は?」と思っていたら、実は自殺しようとしていたとは・・・
後の展開に若干絡むシーンではあるのだが、終わってみれば、たいしたシーンにはなっていない。

その後、黒木メイサ演じる結花が、怪しさ全開で偽装工作をするのだけど、最後のドンデン返しに繋がるシーンとは言え、どうにもヌルい。

さらに、伊藤英明演じる神足が現れるのだが、こいつもまたヌルくて、とてもインターポールという感じがしない。

ホントに、この男には貫禄というものがないのだが、実際これがとてつもなく頼りない男だった。
何と、敵に襲われた時に、拳銃一つ満足に撃てない。
本人曰く「実戦では撃ったことがない」とのことだったけど、そんな問題ではない。
敵を前に、地面に突っ伏したまま、頭を抱えて震えていた。
よっぽどトラウマになるようなことがあったのか、と思うくらいの状況だったのに、何のことはない、何にもなかった。

だいたい、あんな臆病者に、インターポールで指揮を取るほどの役目などできるわけがないだろう。

あのあたりは、もっとウマく描くべきではなかったのだろうか。

この伊藤英明に限らず、今回の出演者は下手くそが多かった。

戸田恵利香は、見習いが解けて、晴れて外交官になれたようだけど、どう見たって頭が軽そう。
どうして、この娘を外交官役なんかに選んだのか、さっぱりわからない。

黒木メイサも、怯えたり、思わせぶりな行動を取る時など、とにかく演技が下手くそ。

お馴染み(?)の福山雅治も、「竜馬」で主役を演じたとは言え、相変わらず単調すぎて、ただのチャラい男にしか見えない。

途中、ちょっとだけ出ていた大杉漣も、どうしてあんなにセリフ回しが下手なんだろう、と思う。

結局、織田裕二ひとりが目立っている感じなんだけど、そのオダルフィ改めオンダルシアも、まったく笑うことなく、たいして叫ぶこともなく、淡々と話しているだけ。
「そんな男」を演じているつもりなんだろうけど、ちょっと単調すぎやしないか。

そして、最初にも書いたように、川島が死んだ理由が何であろうと、結花が何をしようが、淡々とした内容には、一切影響がない。

結花が、実は○○○であった、という事実が判明し、その背景に、数年前の事故が関わっていたことがわかったところで、見ていて「ふ~ん、だから何?」としか思えなかった。
黒田が撃たれた時も、「どうせ防弾チョッキ着てるんだろ」としか思えず、緊迫感の欠片もなかった。

黒幕も、「何だかなあ」という感じだし・・・

すべては、展開がヌルすぎたせいだと思う。

わざわざ夏八木勲まで出して、マネー・ロンダリングをテーマにして、いかにも「大作だぞ!」という雰囲気を出そうとしているのはわかるのだが、それがかえって逆効果にしかなっていないように思える。

昨日見た「スーパーエイト」は、最終的には「はあ?」という感じだったけど、途中まではハラハラ・ドキドキするものがあった。
しかし、この映画に限っては、な~んにもなし。

今回は、脚本もさることながら、やはりキャストのミスだと思う。

ということで、評価は「C」にします。

細かいところで・・・

黒田が撃たれたのは、実は罠だったということが判明したところで、3発撃って、すべて心臓に命中していた、というやり取りがあるのだが、結花を人質として盾にしていたあの状況で、はたして心臓に3発も撃ちこめるものだろうか。


最後に・・・

何だか、次に続きそうな気配があったけど、まだまだ続けるつもりなんだろうか。

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映画評525 ~ スーパーエイト

今回は「スーパーエイト」

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ハリウッドきってのヒットメーカーである2人のクリエイター、スティーヴン・スピルバーグが製作を務め、J・J・エイブラムスがメガホンを取るSF大作。1979年にアメリカで実際に起こった事故を引き合いに、アメリカ政府がひた隠しにする秘密と、映画撮影に夢中になる少年たちが真実を暴く冒険と成長を描く

主演は、ジョエル・コートニー
共演は、エル・ファニング、カイル・チャンドラー、ライリー・グリフィス、ライアン・リー
その他、ガブリエル・バッソ、ザック・ミルズ、ロン・エルダード、ブルース・ウィンウッドなど

<ストーリー>
1979年、アメリカ・オハイオ州。8ミリカメラで映画撮影をしていた6人の子どもたちのそばで、貨物列車の衝突事故が発生。貨物列車は空軍施設・エリア51からある場所へと研究素材を極秘に移送中だった。アメリカ政府が隠す秘密を目撃してしまった子どもたちのカメラには、事故の一部始終が記録されていたが


いや、困った。

確かに、「ET」と「未知との遭遇」と「スタンド・バイ・ミー」をごっちゃにした映画だった。
そして、「ET」の二番煎じ(?)というか、「二匹目のどじょう」を狙っていたのだろうけど、はっきり言えば「残酷なET」になってしまっている。

「少年たちは、あの夏の日を忘れない」みたいな宣伝をしていたけど、そんな子供向けのファンタジーなんかじゃなくて、結構エグい。

だいたぃ、あのエイリアンは、いったい何だ。
「アメリカ政府がひた隠しにする」とは言うものの、あんなバケモンをどうやって隠そうとしたのか知らないけど、少なくとも「列車で輸送」なんて発想は、普通しないと思うぞ。
しかも、警備というか、護衛が一切いなかったし・・・

事故があってから、あわてて出てくるなんて、ちょっとおかしいだろう。
あんなもの、逆走してくる車を阻止しないと。

ということは、後から思ったことだけど、いちおう前半は、「何か起こりそう」という雰囲気はしていた。

しかも、流れは完全に「スタンド・バイ・ミー」なのに、どうも残酷感が漂う。
とても「何かが家や倉庫の隅に見え隠れしていて、いろんなイタズラをしている」という感じではなく、明らかに人を襲っているし、間違いなく人が死んでいる。

終盤になって出てきたエイリアンは、まさにバケモノ。
知能が高いとか、高度な文明を持っているとかいうイメージは、まったくない。
しかも、実際に人間を食べたりなんかしてるし、誰がどう見たって、「話してわかる」相手ではない。
にもかかわらず、主人公の少年は、そのエイリアンに追いつめられて観念したわけではないだろうけど、いきなり「気持ちはわかるよ」とか「きっとうまく生きていけるよ」とか、わけのわからないことを言い出す。
「えっ、もしかして説得しようとしてんの?」と思ったのだが・・・
・・・実際その通りだった。

途中までは、「いったい、どうなるんだろう」と思っていて、中盤から「何か変だなあ」と思い始めて、最後は「どうやって、あのエイリアンを倒すのだろう」と思っていたのに・・・

「気持ちが通じるエイリアン」にしたいのだったら、あんなグロテスクなバケモノにしなくたって良かっただろうに。
とにかく、ヘンテコな展開で、いったい何を表現したかったのか、さっぱりわからなかった。

しかも、子供たちの演技が結構うまかっただけに、子供たちの行動が、まわりの大人たちの行動とまったくかみ合ってなく、エラく浮いていた。

軍隊がエイリアンと戦っている間も、子供たちは、まったく関係がないみたいに走りまわっているので、緊迫感がない。
あの軍隊も、いったい何がしたかったのだろう。
エイリアンを捕まえようとしているのか、殺そうとしているのか。

しかも、最後の最後は、エイリアンが母国(?)に帰ろうとしていた時も、ぼけ~っと見ているだけ。
エイリアンと心が通じたのは、主人公の少年たちだけで、大人たちはそのことを知らない。
にもかかわらず、なぜぼ~っと見ていたのだろう。
もっと反撃しろよ。

結局、あれやこれやを詰め込んだあげく、中途半端に「感動」路線でまとめようとしたために、最後はわけがわからなくなってしまった。

面白いと思う人は面白いと思うのだろうが、私にはダメだった。

子供たちに、みな存在感があっただけに、ちょっと残念でした。

ということで、評価は「C」にします。

もしかして、もっと深い話なのかも・・・!?

映画評524 ~ さや侍

今回は「さや侍」

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『大日本人』『しんぼる』と、独特の視点と感性で作品を世に送り出してきたダウンタウン松本人志監督の長編第3弾。侍として戦っていくことをやめた男と、そんな父を軽べつする娘のきずなや葛藤(かっとう)を、独自の笑いと悲しみを交えて映し出す

主演は、野見隆明
共演は、熊田聖亜、板尾創路、柄本時生、りょう、ROLLY、腹筋善之介
その他、清水柊馬、竹原和生、伊武雅刀、國村隼人など


<ストーリー>
出来事により、侍として戦うことをやめ、刀を捨てた野見勘十郎(野見隆明)。そんな父に対し、娘(熊田聖亜)は反発していた。2人は、あてもなく旅をしていたのだが、無断で脱藩した勘十郎には懸賞金がかけられており、とうとう捕まってしまう。しかし、奇人として世間では有名だった殿様から「30日の業」に成功したら、無罪にすると言われ・・・


いや、参った。

松ちゃんの作品だし、もともと期待していったわけではない。

そして、案の定ツッコミどころは随所にあった。

特に、冒頭の3人の刺客(賞金稼ぎ?)によるシーンは最悪だった。

まず、りょう演じる「三味線のお竜」が、いきなり主人公に斬りかかる。
そして、血しぶきがあがるのだが、倒れることもなく、主人公は逃げ去る。
そして、お竜もその後を追ったりはしない。

だから、このシーンは主人公の妄想だと思っていた。

しかし、直後に、娘が薬草を持って父親である主人公の背中に貼っているシーンが出てくるので、現実の場面ということになる。

続いて、二丁拳銃を持った男が突如現れ、彼の撃った弾が、主人公の後頭部に命中する。
しかし、今度も主人公は倒れることもなく、またまた茂みの中に逃げ去るだけ。
そして、次のシーンでは、今度は頭に包帯のようなものを巻いて寝ている。

しかし、次に天井からぶら下がってきた男が、主人公の首を折る時には、頭に包帯はすでにない。
そして、またまた主人公は死なない。

見ていて、ただ唖然とするだけだった。

しかも、それぞれの刺客たちのネーミングがダサい!

「二丁短銃のバキュン」に「骨殺死のゴリゴリ」だって。
何だよ、バキュンって・・・

とにかく、冒頭から「あちゃ~!」のシーンが続いた。

その後、「30日の業」に入った時も、主人公が殿様の息子を笑わそうとする時の、それぞれのネタが、ダサすぎて笑えない。
ちょっと面白いのもあったけど・・・あんなのより、テレビでみるコントの方がよっぽど面白い。

これが松本人志流の発想なのかも知れないが、誰か止めなかったのだろうか。

たぶん、松本とスタッフとの間では、こんな会話が延々交わされていたのではなかろうか。

松本「二丁短銃のバキュンって、どう?」
スタッフ1「いいっすねえ、バキュン。これ、爆笑ですよ」
スタッフ2「しかも、二丁拳銃じゃなくて、二丁短銃って・・・最高っすよ!」
松本「それから、骨殺死ゴリゴリは、どう?」
スタッフ1「骨殺って・・・ウケる。何か、新しい殺法みたいでカッコいいっすね」
スタッフ2「ゴリゴリも、何すか。笑っちゃいますね」
松本「そして、三味線女の方は、お竜でいいんちゃう?」
スタッフ1「そうすね。ここは、単純にお竜ということで、逆に『何や、普通かい!』というツッコミが入りますよ」
スタッフ2『間違いないっすよ』

つまり、全体を通して言えることは、舞台でのコントであれば、そこそこウケるような単発のネタを、わざわざ映画の中でつないでいるだけなので、見ていて笑えない。

なぜ、舞台なら、こういうのがウケるのか。
それは、タイミングよくツッコミを入れることができるからだ。

ダウンタウンの場合だと、間違いなく浜ちゃんは、どんなしょうもないボケであっても、うまく拾っては、ちゃんとツッコんでくれる。

ところが、映画の中だと、その手の役を誰かがやらないと、寒いボケは、放ったらかしになってしまう。

そこで、松ちゃんは、どうしたか。
それを、娘や門番たち(板尾と柄本)にやらせているのだ。

「う~ん、ちょっとインパクトが足りないなあ」みたいなセリフが随所に出てくる。

しかし、本来板尾はボケである。

しかも、もう一人の門番(柄本)にも、かなり無理なボケをやらせている。
普段、しゃべっている時以外は、ぽかんと口を開けたままにしているのだ。
ただし、「ぼけ~っとしている」わけではない。
ただ、口を開けているだけ。
ものすごく不自然な姿だった。

こんなボケ二人が、主人公のボケの手助けをするわけだから、ほとんどのネタが、ただただスベるだけ。
唯一、娘だけが、まともにツッコんでいた。


長くなってしまったが、実は松ちゃんは、この映画で笑わそうとだけしているわけではない。
最後に、ちょっとした「感動」を用意している。

確かに、意表をついたクライマックスだったように思う。
「ありゃ?」という感じだった。

だけど、そのまま終わらせればまだ良かったものを、ラストでまた余計なことをしている。

娘の前に現れた虚無僧(?)が、いきなり歌いだす、というのは「あり」かも知れない。

そして、殿様の息子が、最後に笑うというのもいい。
しかし、なぜあそこに主人公が再び出てくるんだろう。

「主人公を思い出して」という場面なら、まだわかる。
しかし、あの場面は、どう見たって「主人公は、実は生きていた」という描写だ。

でも、これはまだ許せる。

最後の最後、エンドロールが終わった後に、あるシーンが映る。

あれは、いったい何だ。
というか、何のためにあんなシーンを入れた?
もしかして、「最後に、もう一度意表を突いてみました」っていうつもりか?
つまり、「何かあると思わせておいて、実は何~にもありませんでした~」という意表。

はっきり言って、ムダというか、意味のないシーンだと思う。

たまたまエンドロールが短かったから、たいした「損害」は受けなくてすんだけど、あんまり調子に乗らない方がいいと思う。
「オレは、映画の常識を打ち破りたいんや」とでも言いたげな工夫(?)が、いろいろと出てくるけれど、そういうのは、ちゃんとした映画を作ってからにしてほしい。

だって、松本人志が「映画監督としてどうか」なんて評価はまだ定まっていない、どころか、「こいつ、映画がわかってないな」としか思われていないのだから。

せっかく、伊武雅刀や國村隼などのシブい役者さんを配しながら、それがほとんどプラスになっていない。

ただ、前作ほどヒドくはなかったように思うので、評価としては「C」にしておきます。

やっぱり、私には理解でないようです。


ところで・・・

彼の作品の評価は、いつも両極端に分かれる。

ボロくそ言う人たちは、実際に面白くなかった人たちだろうけど、「何をそこまでムキになって、ベタ褒めしようとするのかね」と思うほどのシンパというか「信者」のような人たちが、相変わらず多い。
無条件で「松ちゃん、最高!」という人たちである。

もしかしたら、一部は皮肉のつもりで、わざとベタ褒めしているのかも知れないが、何をやってもウケる、という人たちは確かにいる。
今日も、若い男で、一人だけ妙にウケているヤツがいた。
まわりがシーンとしていただけに、かなり目立っていたのだけど、どこがそんなに面白かったのか、ぜひ聞いてみたいものだ。
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