映画評370 ~ 引き出しの中のラブレター (09.11.1)

今回は「引き出しの中のラブレター」

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主演は、常盤貴子
共演は、林遣都、中島知子、岩尾望、竹財輝之輔
その他、萩原聖人、本上まなみ、吹越満、六平直政、仲代達也、八千草薫など


<ストーリー>
FMラジオのパーソナリティ、真生(まい)は、ある日、北海道に住む少年から「笑わない祖父を笑わせるには?」と書かれたハガキをもらう。とっさに答えられなかった真生は、おじいちゃんを笑わせる方法を番組で募集。その方法が全国から寄せられるが、ある時、「もう募集はやめて欲しい」と再び少年から手紙が。この少年がどうしても気になる真生は、ひとり北海道に向う。実は真生には、絶縁した父を亡くしたという過去があった。


日曜日のお昼に、ちょっとおセンチな気分に・・・と思っていた。

ところが、見ていて途中からイライラしてきた。

誰だ、こんな脚本考えたヤツは!

まず、常盤貴子演じる主人公真生のキャラクターが理解不能。

ラジオの本番中に、リスナーである少年・速見直樹からの手紙を読んでいて急に絶句してしまう。
こんなDJなんて、あり得ない
何か思うことがあったとしても、要は仕事中なんだから、集中が途切れること自体、プロとして失格だろう。
しかも、ただの一リスナーに異常に執着して「おじいちゃんを笑わせる方法」募集などというショボい企画を進める。

余談だけど、ホントにこの「おじいちゃんに笑顔を・・・」の企画がショボすぎて、これを実行した直樹のギャグは、笑えないどころか、見ていて情けなくなってしまう。

そして、直樹から、今度は個人宛に手紙をもらっただけで、東京から、わざわざ函館まで出向く。
そして、体調不良で寝ている直樹のおじいちゃん(仲代)に向かって、いきなり「息子さんとの間に、いったい何があったんですか」などと聞く。
なんて不躾なヤツだ。

しかも、二回目に行った時などは、今度は「息子さんに手紙を書いてくれ」と頼む。
あんな失礼なDJの頼みなんて、誰が聞くものか。
ガンコ親父でなくても、どこの誰ともわからない胡散臭い女に対して、家庭内のいざこざの話なんてするわけがない。

一方、このDJを起用しているFMの放送局もムチャクチャ。
いきなり参加して提案してきた、一介のDJの企画を、社長の「いいね」の一言で、すぐに決定してしまう。
「引き出しの中の思いを聞かせたい」なんて企画、ありふれていて、特にアイデアが光るというものでもないのに。

しかも、番組をスタートさせたのはいいけど、直樹のおじいちゃんにこだわりすぎ。
ほかにも、たくさんのリスナーがいるはずなのに、そちらの方には、まったく気持ちが入っていなくて、とにかくスタッフ含めた全員が、直樹のおじいちゃんからの手紙を待っている。

そして、皆の期待通り、直樹のおじいちゃんから手紙が・・・
だけど、ガンコな漁師であるおじいちゃんが、あんな手紙なんか出すか?

別に職業差別で言っているわけではない。
ガンコさの欠片も見られない、あまりにもおとなしい内容の手紙だった、ということだ。
真生は、わざわざ「一行だけでいい」と言っていたのだから、あんなに長い手紙にしなくても良かったのに。

だいたい、あの手紙を読んで、最初は「直樹による自作か?」と思ったほど。
それほどまでに、意図のわからない手紙だった。

真生の父親(六平)が、出そうとして結局出せなかった手紙の内容も、また不可解だった。
真生の父親もまた、ガンコなおっさんだったのだが、この手紙も、直樹のおじいちゃんと同様、実にまじめな優しいものだった。
はっきり言うが、ガンコなおっさんは、あんな手紙は書かない。

なぜ、そう思うのか。
実は、亡くなった私の親父も、相当なガンコものだったのだが、この親父が時折見せる優しさ、というのは、言葉そのものではない。
全体の雰囲気というのか、手紙であれば、その行間に優しさが隠れているものなので、感じ取るしかない。
本人も、ゼッタイに優しい言葉なんか使わない。
だって、ガンコなんだから。

たぶん、この手紙を考え付いたヤツは、ガンコじゃないし、手紙なんか書いたことないのだろう。

さて、さらに唖然は続く。

番組が終わった直後、上司である竹下(吹越)から「窓の外を見てみろ」と促された真生が、窓の外を見てみると、何と一般のリスナーたちが集まってきた、一斉に拍手をしていた。
いったい、どれだけ国民的な人気のある番組なんだ。
たかが、あの程度の内容の番組で、感動してわざわざ集まってくる人なんか、いるはずがないだろう。
わざとらしい演出に、イライラは頂点に・・・

もう勘弁してくれ、と思ったけど、さらに追撃の3連発。

中島知子演じる未婚の母・由梨のお母さん(八千草)が、実は直樹のおじいちゃんの元妻であることがわかるのだが、病院でこの放送を聞いていた由梨のお母さんは、何を思ったのか、返事の手紙を持って真生のところへ出向く。
病院の一室で、FM放送を聞いていること自体、普通はあり得ないが、手紙を放送局に出すのならともかく、わざわざ持っていくなんて、何考えんだか、このおばあちゃん。

さらに、由梨のところへ、子供の父親である軟弱医師(竹財)がいきなり現れて、求婚する。
由梨が出産したことを、いったいどうして知ったのかと思ったが、その直前に、女性用の下着を売っている店で働いている本上まなみ演じる可奈子のところへ行ったものだから、たぶん、その時に教えてもらったのだろう。

だけど由梨と可奈子の接点って、あったか?
そんな描写はなかったと思うが。
真生と可奈子が友達である、ということは描かれていたけど。
最初、この軟弱医師が可奈子のところへ行って「大事な話があるんです」って言った時には、軟弱医師が好きだったのは、実は可奈子なのかと思っていた。

そして最後。
再び直樹のおじいちゃんのところへ行った真生が、由梨のお母さんの手紙をおじいちゃんに渡すと、笑わないことで有名なおじいちゃんが、ニヤっと笑った。
ニコっ、ではなくて、ニヤっ。
何だ、あの不気味な笑いは。
ガンコ者は、最後までガンコであって、はじめてガンコが成立する。
不器用な笑い、という意図かも知れないが、見ていてかなり違和感があった。

そして、エンドロールが流れてきたので、もうこれで終わりかと思っていたら、トドメがあった。

由梨との結婚を断固として反対していた軟弱医師の両親(西郷輝彦・他)が、あろうことか、お祝いをもって由梨のところへ来たのだ。

いったい、どうやって知ったのだろう?
たぶん、バカ息子から聞いたんだろうけど、それにしても、親父の威厳まったくなし。
これまで、いったい何のために反対してたのか。
軟弱医師の父親も、ガンコ者として描かれていたのだけれど、それでなくとも考え方が歪んでいる(すみません、私の固定観念です)医者が、息子に子供が産まれたくらいで、そう簡単に二人のことを許すとも思えないのだが・・・

とにかく、すべてが予定調和というのか、出演する皆が、たいした紆余曲折もなく、予想通りのハッピー・エンド。
胡散臭すぎる。

よくも、ここまで盛り上がりのない脚本を考え付いたものだと思う。

確かに、いい話だし、感動できる面もある。
だけど、ここまで予定調和だと、「次に何が起こるか」が、すべて読めるので、まったく感動できない。
余りにも、その通りの展開だったので、むしろビックリしたくらいだ。
ということで、どうしようかと悩んだけど、余りに情けなかったので、評価は「E」とします。

出演者で言えば・・・

林遣都が、意外にも下手くそだったのは、残念だった。
かわいい顔をしているのに騙された(?)のだが、この先キツいと思うぞ。

片岡鶴太郎は、まったく不要だったと思う。
こいつの演技は、クサすぎて、見ていられない。

岩尾も、下手くそだった。
M-1王者とは言え、ブサイク・キャラと、奇抜なボケで生き抜いているのだから、役者としてはムリだと思う。

むしろ、中島知子の方が存在感のある演技をしていたように思う。
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