映画評398 ~ マラドーナ (10.2.25)

今回は「マラドーナ」

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『ウェディング・ベルを鳴らせ!』などの鬼才、エミール・クストリッツァ監督が世紀のサッカー選手、マラドーナの素顔に迫るドキュメンタリーである。
奇跡のゴールから一転、コカイン中毒の苦しみや反米主義など、ヒーローの意外な姿を見ることができる。

<内容>
2005年、クストリッツァ監督はマラドーナの長女ダルマの誕生日に招かれ、2台のカメラと数人のクルーとともにブエノスアイレスを訪れる。そこでマラドーナは自身が敬愛する革命の戦士、チェ・ゲバラとキューバのカストロ将軍のタトゥーを誇らしげに見せてくれる。その数日後、マラドーナを祝福するライブのステージに監督も呼ばれる。


出張の移動日の合間にできた時間を使って見たものだが、なかなか面白かった。

これまでは、彼のことを「サッカーのプレーヤーとしては最高だが、人間としては最低」というイメージで見ていたのだが、この映画により、少し見方が変わった。

それはつまり、「アングロサクソンから見て、もっとも排除すべき人間」というものを、私たちは、いかにマスコミを通じた歪められた姿でしか見ていないか、ということだ。

彼は、米国や英国が大嫌いなのだ。
だから、W杯で優勝した年に、イングランドに勝ったときのことを、「モチベーションが全然違った」と言っている。
当然のことながら、背景にはあのフォークランド紛争がある。

だから、あの試合での「神の手」のことは、国民みんなが「ハンドだ」ということを、もちろん知っている。
しかし、だからこそ「神」の手と言っているわけで、要するに「神が、悪の国・イングランドを倒すために、私たちを導いてくれたのだ」と思っているわけだ。

そんなことも知らなかった平和ボケ日本人の私は、「審判が気づかなくてラッキー」程度にしか思っていなかった。

一方で、マラドーナがコカインをやっていたのは事実だ。
本人も、そう言っている。
しかし、それはスーパースターゆえの悩み・苦痛から逃れるための手段であり、決して「人間として最低のクズ野郎」だったからではない、ということ。

もちろん、彼の言葉をすんなり受け入れるわけにはいかない。
しかし、アルゼンチン国民が、いかに彼を崇拝しているか、という映像を見せられると、欧米のメディアが伝えるマラドーナ像を、そのまま信用するわけにもいかない。

この映画は、カストロやチェ・ゲバラに傾倒としているマラドーナの話を随所に入れているが、「人間として最低」と言われている割には、言っていることは、かなりしっかりしている。
実際に、カストロにも会っているし、足にはカストロ、腕にはチェ・ゲバラの刺青までしている。

逆に言うと、欧米憎しの発言を繰り返すからこそ、欧米からは「最低!」といわれているのかも知れない。

ということで、想像していたのとは、まったく違う内容だったけど、意外と面白かったので、評価は「B」にします。

でも、マラドーナのゴール・シーンは、いつ見てもすごいです!

笑ったのは・・・

「マラドーナ教(神の手教)」というのがあって、入会の儀式として、あの「神の手」によるゴール・シーンを再現する、というものがあること。
実際のフィールド内で、ゴール前にあげられたクロスボールを、GK役の審査人(?)と競り合った際に、それをわざと左手を使ってゴールする、というものだが、いつまでも「イングランドよ、ザマア見ろ!」と思っているのだなあ、と感じた。
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欧米側から観たマラドーナとラテンアメリカ側から観たマラドーナはまた一味違うんでしょうね
僕も、こないだマラドーナがお誕生日を迎えたこともあってブログで彼のことを書きましたが本当に良いキャラをしてますよねw
サッカーにはそこまで興味はありませんが、マラドーナの表情豊かな所が好きなのでまたその映画観てみようと思います

Venceremosさん

はじめまして。

やはり、マラドーナは偉大なるサッカー選手だと思います。
彼を超える選手は、おそらく出てこないかもしれません。

にもかかわらず、彼が嫌われる理由。
それは、同時にアルゼンチン国民に愛される理由と関係があるのでしょうね。

日本にも、そんな選手が出てきてほしい、と思います。
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