映画評471 ~ 死刑台のエレベーター (10.10.10)

今回は「死刑台のエレベーター」

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主演は、吉瀬美智子
共演は、阿部寛、玉山鉄二、北川景子、平泉成、りょう、笹野高史
その他、熊谷真実、田中哲司、堀部圭亮、町田マリー、津川雅彦、柄本明

<ストーリー>
医療グループの社長夫人・芽衣子(吉瀬美智子)は若い医師・時籐(阿部寛)と愛人関係になり、年の離れた夫を自殺に見せかけ殺害することを計画。犯行当日、芽衣子は約束の場所で時籐を待つが彼は一向に現れない。芽衣子がいら立ちを募らせる一方、時籐はエレベーターの中に閉じ込められるアクシデントに巻き込まれていた


1957年に制作されたオリジナル版の53年ぶりのリメイクということになる。

オリジナル版は見ていないが、今回の作品については、ネットでは散々の評価だった。
どの作品にも、必ず「さくら」みたいなのがいて、平均点としては、そこそこ落ち着くはずなのに、この作品に限っては、5点満点で2点にも満たない評価だ。

それだけに、かえって楽しみ(?)な面もあった。

で、結論から言うと、それほどヒドくはなかった、というところだろうか。

しかし、もちろん面白かったわけではない。

まず、前提となっている「会長殺害」について。
もし、あのエレベーターが止まっていなかったら、はたして本当に「完全犯罪」になっていたのだろうか、という疑問がまず思い浮かぶ。

主人公・芽衣子と時藤が不倫関係にあることは、すでに会長はおろか、総務部長にまでバレている。
従って、会長が殺された、という事件が発覚した時に、もっとも疑われる人物が、この二人だ。
そもそもの悪人である暴力団組長・神は、会長が裏でやっているあくどい実験を知っていて、そのことで脅しをかけていた、ということだから、わざわざ殺す理由はない。

当然のことながら、この二人はアリバイを調べられるはずだけど、芽衣子の場合はいいとしても、時藤の場合、その時間、まさにビル内にいたわけだから、アリバイがない。
部屋のすぐ前に秘書がいたから、というのはたいしたアリバイにはならない。
実際、ベランダを使って上の階に侵入したのだから、殺害の方法はいくらでもある。

しかも、この時藤は元来まじめだし、不倫相手から「いくじなし!」と言われているほどの気弱な男だ。
警察の調べに対して、どこまでも白を通せるとは、とても思えない。
つまり、この時点で、すでに「完全犯罪」というものは成立しないだろう、と予測できるわけだ。

それに、「自殺に見せかける」ためなのに、あんな距離から胸を撃ってどうするの?
普通、自殺する時に、胸なんか撃たないだろうに。
計画そのものが杜撰すぎる。

さらに、もう一つ。
たびたび登場する守衛(笹野高史)は、会長がビルから出ていない、ということを確認していない。
彼は、ビルの主電源を落とす前に、各階を点検して回っているのだから、会長室に人がいるのか・いないのか、確認すればすぐにわかること。
しかも、翌日になって、警察と共に会長の部屋の前で行った時に「あっ、いつもはカギをかけないで帰るのに、カギがかかっている」と言うのだが、ということは、やはり前日には確認していない、ということになる。

殺人が行われたのは、電源が落ちる17時半の少し前(17時15分頃)だ。
その直後に、この守衛が各階を見回りしたのだから、会長室の前だけ確認しない理由が、まったくわからない。

映画の中では、時藤と秘書が帰る時に、守衛に対して「私たちが最後です」と言っているのだが、これもおかしい。
会長はすでに帰った、ということをこの秘書はどうして知ったのだろうか。
たとえ、「会長は、いつもそうだから」ということで、秘書がそう勘違いしていたとしても、この発言には違和感がある。

いずれにしても、完全犯罪そのものが成立しそうにないわけだから、その後のアクシデントの連続も、たいした意味を持たないと思う。

映画の中では、「完全犯罪が成立するかどうか」ということより、芽衣子の気持ちの揺れや、アクシデントの元である玉山鉄二演じるバカ警官を描くことに重きを置いているので、あまり気にならなかったのだが、後で考えてみると、何だか変な話だ。

さて、そのアクシデントだけど、バカ警官もさることながら、暴力団の組長も、かなりのバカだ。
自分の情夫を追ってきたバカ警官を、わざわざお忍び先の箱根のホテルに泊めた理由は、いったい何だ。
しかも、手下たちが奪ったこのバカ警官の拳銃を、本人の前に弾つきで置いておく、なんて頭悪すぎる。
だいたい、広域暴力団の組長が、護衛もなしにあんなホテルに泊まるのか?

北川景子演じる美容院の女も、何を考えているんだか、さっぱりわからない。

バカ警官についていく理由もわからないが、バカ警官が殺人を犯した後、どっかの宿で無理心中を図ろうとしていた場面は、理解不能。

ウイスキー(?)に睡眠薬かなんかを入れて、それを口移しでバカ警官に飲ませようとしたらしいのだが、その描写は最悪。
ただキスをしているようにしか見えないし、あんな少量で死ねるわけないだろう。
しかも、飲まされたバカ警官の方も「何か飲ませたか?」と言うなり、すぐに眠ってしまった。
どれだけ強い睡眠薬なんだよ。

さらに、女はウイスキーのビンを持って、バカ警官に対して振り下ろすシーンがある。
どう見ても「女が男を叩き殺した」というシーンにしか見えないのだが、次のシーンでは、男は平然とベッドの脇に座っていた。
あれは、いったい何のためのシーンだったの?

それに、ライカのカメラに執着する場面もよくわからない。
暴力団の組長と写真を撮ったり、フィルムがなくなったら、わざわざ買いに行こうとするし、「ないです」と言われると、そこで何か作業をしている男をつかまえて「フィルムはないですか?」って、どれだけ写真を撮りたいんだよ。
しかも、その作業中の男が、実は写真館の男って、そんな都合よく出会えるわけないだろう。

この写真の件は、最後に大きな証拠となる大事な出来事なんだけど、ちょっとやりすぎだ。

とにかく、いろんな出来事があって、でも最終的にはすべてが繋がって、そして芽衣子の「完全犯罪」が崩れ去ってしまう、というストーリーが、まったくできていない。

キャストが結構揃っていただけに、何とも残念な映画だと思う。

そのキャストで言うと・・・

今回は、みんな結構押さえた演技をしている。
吉瀬美智子も阿部寛もそうだし、柄本明もそうだった。
ほとんど叫んだり、声を荒げたりしない。

そんな中で、りょうの下手さだけが妙に目立った。
組長が撃たれた時に、なぜか棒読みで「あ~あ、ホントに殺さなくても・・・」と言うので、またすぐ次の男を見つけるつもりなのか、と思えるほどだったのに、次の瞬間には激高して、いきなりわめき散らしていた。
あの落差は、いったい何なんだ。
あれでは、バカ警官に撃ち殺されて当然!?

ということで、後で思い出せば、随所に変なところはあるのだけど、全体的には淡々と見ていたので、評価としては、ちょっと押さえて「C」にします。

まっ「D」でもいいかな、って感じだけど。


最後に・・・

あのバカ警官が、チンピラたちとやり合っていたシーンで、ボコボコにされた後、引き上げようとするチンピラの後ろから、コンクリート・ブロックで、数回殴りつけていたが、あれだけ思い切り振りあげたら、普通死ぬんじゃないの?

だけど、あのチンピラは「ちょっと痛てえな」って程度で、何事もなかったかのように歩いていたぞ。
いったいどういう描写?

おまけで・・・

個人的に言うと、車から離れる時に、たとえ少しの時間であっても、キーを差したままにする、などということはあり得ない!
エンジンを掛けっ放しにしているわけではないのだから。
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