映画評497 ~ 僕と妻の1778の物語

今回は「僕と妻の1778の物語」

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フジテレビ系列で放映された「僕の生きる道」シリーズが、SF作家の眉村卓と2002年にガンで逝去した夫人との感動の実話を基に映画化したもの。

主演は、草剛、竹内結子
共演は、谷原章介、吉瀬美智子、陰山泰、小日向文世、大杉漣
その他、浅野和之、佐々木すみ江、風吹ジュン

<ストーリー>
SF作家の朔太郎(草剛)と銀行員の妻節子(竹内結子)は、高校1年の夏休みに付き合い始めてからずっと一緒だった。だがある日、腹痛を訴えた節子が病院に入院し、彼女の体が大腸ガンに冒されていることが判明。医師(大杉漣)に余命1年と宣告された朔太郎は最愛の妻にだけ向けて、毎日原稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。


いい話だ・・・
と言うか、いい話のはずだった。

しかし、何だろう、この違和感は。
最初から最後まで、ただ呆然として見ていたような感じ。

ホントなら、余命いくばくもない妻が、夫に支えられて残された日々を一生懸命生き、そして、最後は力尽きてしまうお話。
感動し、涙が出てもおかしくない話なのに・・・

終わった後の感想は、「何だ?これは」だった。

まず、主人公・朔太郎役の草がダメだ。
この男、今回は作家の設定だけど、見ていると、ただの「頭の弱い男」にしか見えない。
確かに、小説家の中には変わった人が多いのかも知れないが、それとこれとは違うような気がする。
小説家というよりは、「いま、会いにゆきます」で中村獅童が演じていた巧に似ている。

さらに、妻を笑わせるために毎日書いている小説というのが、まったく笑えない。
というより、いい話でさえない。
所々、話の筋が紹介されるのだが、引き込まれるようなタイトル・内容というものがほとんどなく、ただ下手なタレントが書いたエッセイのような感じ。

この手の設定というのは、本の中で描くのならまだしも、映像にした場合、誰もが笑える小説なんて、そうあるものではないから、実際に話の内容を表に出してしまうと、かえって興ざめになってしまう。

「20世紀少年」の中でも出てきた歌「グータラスーダラ」と同じく、小説の中では、皆がひとつになるような歌、という設定は可能だけど、これを実際の歌にした途端、化けの皮が剥がれてしまう、というか、「実は、そんな歌なんか存在しない」ことがバレてしまう。
これと同じ感じ。

だから、小説が2つ3つ紹介された時点で、だんだんこちらの気持ちが冷めてきてしまう。
しかも、この小説を呼んで妻・節子は笑っているのだが、どう見ても無理しているようにしか見えない。
ただ、この部分は、映画の中でもそのような流れ(毎日小説を書くことと決めたことにより、朔太郎が自分自身の首を絞めてしまっている)になっているので、それはそれでいいのだが、やはり実際の小説があの程度では、見ている方は感動できない。


さらに、これが一番残念だったことだけど・・・

竹内結子の演じる病人が、何とも中途半端。
不治の病であり、症状が悪くなる一方であるにもかかわらず、所々でエラく元気になる。

強い薬によって、症状の進行を食い止めていたところ、ある程度のところで進行が止まった、という場面で、それはただ症状が悪化しなくなったということであって、治ってきている、ということではないにもかかわらず、節子は急に元気になって、いつも通り話をしていた。

まるで、完治したかのような明るさ。
でも、次の瞬間、またまた悪化してしまい、一気に顔色も悪くなる。

これは、見ていて違和感バリバリだった。

竹内結子は、大好きな女優さんだ。
演技はうまいと思うし、明るく元気でいいのだが、ここは完全に裏目に出ている。

病人をやらせたら日本一の女優(?)大竹しのぶと比べたら、その演技は雲泥の差だ。
まだまだ修行が足りない、と思う。


そして、最後節子が亡くなるシーン。

これがまた、何とも言えず「泣けない」シーンだった。

心電計の数字がゼロになって、「あっ、亡くなった」と思った瞬間なのに、医者がやってきて、なぜか人工呼吸を始める。
それがダメとわかって、初めて「ご臨終」を宣言。
何ともムダな時間だったように思う。

いったい何のために、そんなことをさせたのだろう。
ここで生き返る必要性はまったくないのだから、そんなシーンを挿入する必要はないはずだ。
しかも、節子の母親を初めとした親戚たちも、ぽか~んと見つめているだけ。
激しく泣くわけでもなく、泣き崩れるわけでもない。
ただ、ぼ~っと見ているだけ。

このシーンは、まるで泣くことを拒否するかのような描写だった。


あと、細かいところでは・・・

朔太郎が病院内で、毎日妻に対する小説を書いている時、最初は看護師や他の患者たちは「あの人誰?」とか「気持ち悪~い」とか言っていたのに、妻のために毎日1本書いているのだと知ると、途端に態度が変わって、一心不乱に書きまくっている朔太郎のまわりに、おにぎりやサンドイッチ・飲み物などを置いていく。
見ていて、ものすごく変なシーンだった。

さらに、夜中にロビーで書いている場面でも、少し離れたところで、皆が遠巻きにして見ている。
これまた、異様な光景だ。

このようなシーンを思い付いた監督って、いったいどんなヤツかと思ったら、以前にも「笑の大学」という映画を撮った監督らしい。
笑いに一家言持っているのかもしれないが、あまりセンスのある人とは思えない。


見る前は「草が出ているのだけど、竹内結子だし、まあハズれはないだろう」と思っていたし、題材も良さそうだったので、少なくとも感動はできるだろう、と思っていた。
にもかかわらず、そうでなかったどころか、竹内結子自身にも裏切られた感じ。
なので、今回の評価は、厳しく「D」にします。

ただ、これを見て泣いたという人がいても、おかしくはない作品だと思います。
私的には、まったくダメだった、というだけです。
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