映画評522 ~ プリンセス・トヨトミ

今回は「プリンセス・トヨトミ」

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「鴨川ホルモー」などで知られる人気作家・万城目学の直木賞候補にもなった小説を、『HERO』の鈴木雅之監督が映画化した歴史ミステリー。会計検査院による査察をきっかけに、約400年もの間守られてきた秘密が発覚し、大阪中を巻き込む大騒動に発展していくさまを描く。

主演は、堤真一
共演は、綾瀬はるか、岡田将生、沢木ルカ、森永悠希、笹野高史
その他、和久井映美、江守徹、宇梶剛士、平田満、玉木宏、中井貴一など

<ストーリー>
会計検査院の調査官である松平元(堤真一)、鳥居忠子(綾瀬はるか)、旭ゲーンズブール(岡田将生)の3人が、府庁など団体の実地調査のため東京から大阪にやってきた。順調に調査を進める中、不審な財団法人を見つけ徹底的に調査するが、変わった様子もなく引き上げようとしたとき、大阪国総理大臣と名乗る男が現れる。そして、大阪中を巻き込む思いも寄らぬ事態へと発展していき・・・


妙な映画だった。

一言で言えば「20世紀少年」の大人版、みたいな感じだ。

荒唐無稽なストーリーだけだったらまだ良かったのに、最後は「あざとい」ことをしようとしたために、全体がダメになってしまったと思う。

登場人物が、「松平」だの「長曽我部」だの「真田」だの「蜂須賀」だの、それらしい名前を散りばめていて、いかにも「大阪夏の陣」に関係する話を演出しようとしていたのだが、如何せんしょぼい。

キャストにしても、かなりの好メンバーであったにもかかわらず、何なんだろう、このがっかり感は。
もちろん、綾瀬はるかは素っ頓狂すぎるし、岡田将生は頭良さそうには見えなかったけど、脇役陣はなかなかのものだった。

にもかかわらず、全体的にしょぼかったのは、とにもかくにも「大阪が独立国であった」という前提で話を進めているところ。

いくら大阪人が独立したがっているとは言え、全国各地からビジネスマンやら商売人やら集まってくるというのに、彼らに対しては、いったいどのように対応するのだろう。

失礼ながら、鳥取・島根や高知・徳島あたりであれば、独立してもあまり話題になりそうにない(?)のだが、大阪なんて、まず誰にも知られずにこっそり独立なんて、ゼッタイにあり得ないだろう。

映画の中でも、ある「サイン」を下に、大阪国人が一斉に立ち上がり、街中から人が消えるシーンがあるだけど、他地方から来ている人たちは、いったいどこへ行ったの?

しかも、立ち上がったのは男ばかり。
じゃあ、女性と子供は?

そもそも、大阪人の定義は?

主人公である松平も、お父さんは大阪人だったということだ。
でも、松平自身は、大阪弁を話していなかったし、大阪人ではない。
にもかかわらず、お父さんは、息子である松平に「大阪国」の話をしようとする。
松平自身が、それを拒否したとしたら、そこから話が漏れることだってあり得るだろうに。

しかし、そういう荒唐無稽な設定であったとしても、それで最初から最後まで突っ走るのであれば、何とかなっただろうに・・・

それがダメになったのは、最後に教訓めいたものでまとめようとしたから。

代々、父親から息子へ大阪国の話を伝えていく、という話を聞いた松平が「(息子さんたちは)そんな話を信じますかね」と言うと、総理大臣である真田は「大丈夫です。それは父親の言葉だから」と答える。

何ともウソ臭い話ではないか。
どうして、そんな説教めいた話でまとめようとしたのだろうか。

この時点で「あ~あ」になってしまった。


細かいところを言えば・・・

豊臣の末裔は、プリンセス(王女)である少女たった一人だけだった。
どうして一人だけなの?
彼女の両親は?
まあ、ホテルの中で「小さい時に亡くなった」という話は出てくるのだけど・・・
そのまた親、さらにその親は、いったいどうなったの?

それから・・・

真田は、「父親が(大阪城の真下にある議事堂へ通じる)息子を連れて地下道に入るのは、自分の死期が近づいた時だけ」と言っていた。

だとしたら、女性になりながっていた自分の息子・大輔を地下道へ連れて言ったのは、自分の死期を悟ったからだ、ということになる。
しかし、その後彼の身に何も起こらなかった。
松平との対決(?)の最中に、密かに拳銃を持った男が弾を発射するのだが、撃たれたのは、真田ではなくて松平の方だった。

なぜ?
どうして、あんな展開にしたの?

あと・・・

綾瀬はるか演じる鳥井が、王女を拉致(?)した際、携帯電話を落としてしまうのだが、その後鳥井がそれに気が付いた様子はない。
それどころか、松平や旭に連絡しようとする気配さえない。

彼女は、大阪に遊びに来たわけではない。
彼女が、5時に松平と真田の会談が行われるのを知らなかったとしても、何からの連絡を取るのが普通だろう。

さらに、街中から人が消えた際にも、誰にも連絡を取ろうとしないで、そのあたりを駆け回るだけ。
不自然なシーンだった。

それ以前に・・・

王女が鳥井によって拉致された先は、ホテルの中だった。

タクシーに連れ込まれた時にも、かなり抵抗していたし、部屋から脱出しようとしたこともあるのだけど、それだったら、どうやってホテルの部屋まで連れてこられたの?
当然、フロントを通っているはず。
黙ってついてきたのか?

さらに・・・

松平たちによって査察に入られたOJOは、松平たちが帰った後、彼らに目撃されることもなく全員がいなくなる。

これが、松平に不信感を与えるきっかけになるのだが、そもそも、どうして「全員」で行っちゃうわけ?
松平に限らず、どこから誰が来るかも知れないというのに、普通誰か一人くらい置いておくだろう。

とにかく、全編こんな感じで、違和感の塊のような話だった。

そもそもが荒唐無稽な設定なのだから、そこまでツッコむのは野暮なのかね知れないが、何せ最後「感動路線」に持っていこうとしたせいで、何とも後味の悪い作品になってしまったような気がする。

ただ、展開が気になって、最後まで飽きなかったのは事実。

ということで、評価としては、「D」に近いぎりぎり「C」ということにしておきます。


それにしても・・・

昨年見た「さらば愛しの大統領」でもそうだったけど、そんなに大阪って独立したがってるんだろうか。

たぶん、全くまとまらないと思うのだけど・・・

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