映画評563 ~ ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

今回は、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

映画120219

大好きな父親を9.11のアメリカ同時多発テロで亡くした少年が、父親の残した鍵の謎を探るべくニューヨーク中を奔走する姿を描く感動ドラマ。ジョナサン・サフラン・フォアのベストセラー小説を、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックという二人のアカデミー賞受賞俳優の共演で映画化。『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』の名匠、スティーヴン・ダルドリーが監督を務める。

主演は、トム・ハンクス
共演は、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴァイオラ・デイヴィス
その他、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト、ゾー・コードウェルなど


<ストーリー>
9.11の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。


とてもいい話である・・・・と思う。


もちろん、悪い話ではない。

しかし・・・

YAHOO!映画情報のレビューに、「上映中・序盤~中盤の劇場内では、寝息がチラホラ聞こえていたけど、終盤には、観客のすすり泣く音が劇場内を支配」とあったのだけど、まったくその通りだった。

私が見た時にも、終盤までイビキをかいている人がいたほど、中盤まではちょっとダレ気味だった。


その理由は・・・

主人公の少年に、まったく感情移入ができなかったからだ。

この少年が、あのような行動を取るようになったのは、父親があのような悲劇で亡くなったからではない。
もともと、頭がよかったせいか、いちいち言うことが理屈っぽくて、すぐに相手をバカにしたようなことを言う。
それが、父親が亡くなってからというもの、母親には内緒で行動を取るし、しかも母親が何を聞いても答えない。
とにかく生意気だ。

一方、おばあちゃんの同居人(実はおじいちゃん)に対しては、初対面にもかかわらず、ベラベラと一気にしゃべり出す。
いくら「これまで言いたくても言えないこと」を言うシーンとは言え、とても「かわいい少年」には見えない。

少なくとも「こんなガキはイヤだなあ」というイメージそのままの少年である。
こんな少年がニューヨーク中を歩き回ったところで、あまり「がんばれ!」と応援したくはならない。

このまま最後までいくんだろうか、とさえ思った。

しかし、最後の最後で、実は母親がすべてを知っていたことを少年が知る。
ここで、このイヤなガキは、やっと普通の少年になることができる。

だから、全体的には、「とてもいい映画だった」という内容のはず・・・だった。

もちろん、少年がこのような行動を取る理由はちゃんと説明されているし、それが最後に母親とのやり取りの中で、すべてが明らかになる、という展開は、申し分がないというほどよくできている。
だから、親子の心情を描くという映画であれば、文句なく傑作だと思う。


しかし・・・

最後の方で、ものすごく違和感がある部分があった。

それは、この少年が、父親が持っていた花瓶の中に入っていた封筒に記してあった「Black」という名前を見て、ニューヨーク市内の「Black」さん全員を訪ね歩くという展開。

そして、苦労した末に、とうとうその「Black」さんに出会えた、というのであれば、それはそれで良かったかも知れない。

しかし、実はそうではない。

もともと、父親が残した新聞の切れ端に、「探すことをやめない」という言葉があって、そこを赤枠で囲ってあった。
これを、父親の自分への言葉だと取った少年は、いつも大事に持っており、何かあるたびにこの新聞の切れ端を見て、自分への戒めとしていた。

ところが、目当ての「Black」さんに出会うきっかけは、まったく意外なところにヒントがあった、という展開になっている。

実は、その新聞の切れ端には、ある数字が・・・
しかも、それを赤枠で囲っている。
それは、新聞の表ではなく、裏側に記してあったのだが、その赤マジックの色が透けて見えたのである。

それに気が付いた少年が・・・ということなのだが、ここはどう考えてもおかしい!

最初、「探すことをやめない」という言葉だけが画面に出てくるのだが、実際に少年は、新聞の切れ端そのものを持っているのだから、どこに赤枠が引いているのかなんて、すぐわかるはず。

それを観客に示さないのは、ある意味卑怯だと思う。

せっかくのいい映画なのに、こんなあざといことをするのは気にいらない。


本来であれば、「まあBにしとこうか」と思うところだけど、少年に感情移入ができなかったことと、後半のこの部分がどうしても納得がいかなかったので、評価は「C」にします。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

アクセス数
プロフィール

はぶて虫

Author:はぶて虫
はぶて日記(映画版)へようこそ!

検索フォーム
最新記事
最新コメント
リンク
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
628位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
293位
アクセスランキングを見る>>
月別アーカイブ
最新トラックバック
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR