映画評683 ~ WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~
今回は「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」
『ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を送り出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。あるきっかけで山奥の村で林業に従事することになった都会育ちの若者が、先輩の厳しい指導や危険と隣り合わせの過酷な林業の現場に悪戦苦闘しながら、村人たちや自然と触れ合い成長していく姿を描く。『ヒミズ』などの染谷将太をはじめ、長澤まさみ、伊藤英明、ベテラン柄本明らが共演する
主演は、染谷将太
共演は、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美、マキタスポーツ
その他、有福正志、田中要次、山中淳史、広岡由里子、近藤芳正、光石研、柄本明など
<ストーリー>
大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気(染谷将太)は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキ(伊藤英明)のしごき、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが
久しぶりの映画だが、特に見たいと思うものがなく、「スパイダーマン」や「プリズナーズ」はちょっと重そうだったので、軽い感じのこの映画にした。
しかし・・・
ちょっと軽すぎる・・・
というのか・・・
ネットでは結構評判は良かったのに、いったいどこが面白かったのだろうか、という感じだった。
まず、主人公勇気が林業をやろうと思った動機が変。
不純というのではなく、チラシに載っている女性を見て「わっ、この人に会いたい」と思うヤツなんて、相当頭が弱いヤツだろう。
普通、チラシに載せる女性なんて、モデルか芸能人だからだ。
しかし、まあ実際にいたわけだし、それを否定すると後の話が続かないからいいとしても、そんな頭の弱い男が、あんな林業の厳しさについていけるとはとても思えないのだ。
しかも、そのあたりの描写がいいかげん、というか、あえて省略してある。
最初1カ月の研修も、都会からいいかげんな気持ちで参加したチャラ男には、かなり厳しいはずだが、あっという間に無事終えている。
一度伊藤英明演じる山の男に怒られただけ。
いったいどうやってクリアしたんだか。
そして、その後の1年間の実務体験でも、木に登るシーンなどは、いきなり中段まで登っている描写になっていて、そこまでいく苦労がどこにも描かれていない。
そこまでいけるようになるまで相当大変だったはずなのに、なぜか「ある日突然」できるようになっている。
ほかにもいいかげんな描写が随所にあって、勇気が山の男たちに認められるのも「ある日突然」だし、ヒロイン直紀が勇気を見る目が変わるのも「ある日突然」だ。
あまりにも唐突な展開に、見ていて「はあ?」と思うしかない。
勇気が山の男たちに認められるようになったのも、都会から来た勇気の元仲間たちが、林業を茶化すのを見て、ちょっと激怒したから・・・って、ちょっと安易じゃないか?
スローライフとか何とか言っている元仲間たちも、わざわざ来た割には、本人たちのいる前で林業をバカにするなんて、頭悪すぎ。
あと、中盤で村のガキが山に入って迷子になる展開も、いきなりすぎて「何で?」と思うしかなかった。
山の中の村なんだから、大人たちが普段から厳しく教えているはずだろうに。
あのガキが山に入った理由は、たぶん虫なんだろうけど、いきなり山の中に入っていくので、その後の捜索シーンも緊張感も何もないし、そんな中でなぜ勇気がガキを助け出せたのかも、無理やりすぎてよくわからない。
原作では、そのあたりはきちんと描かれているとは思うのだけど、監督はどうしてそのあたりをいいかげんな形にしたのか、私には理解できない。
でも、一番納得がいかないのは、やはり主人公の描き方だろう。
物語を通して、勇気には「山の男になった」というイメージがまったくない。
顔も浅黒くなるどころか青白いままだし、相変わらずチャラい。
チャラいというより、終始「ヘラヘラしている」の方が正確だろうか。
いつでもどこでも、とにかくヘラヘラ・ヘラヘラ。
最後の重要な儀式の場面も、いくら何をするのか教えてもらっていない、とは言え、まわりの真剣な姿を見れば、あそこまでヘラヘラできないはず。
しかも、ダラダラ歩いていて、前を歩く伊藤英明たちに付いていこうとさえしない。
いや、そんなヤツはいない、と言っているのではない。
もしそんなヤツだとしたら、そもそも林業研修なんかについていけるはずがなく、山の中での生活などできるはずがない、と思うわけだ。
だから、肝心の儀式の場面でも、一人だけ異常に浮いていて、見ていて違和感があってしょうがなかった。
ああいう描き方で笑わせようとしているのだろうけど、少なくとも私にはまったく笑えなかった。
もっと、「相変わらずチャラいのだけど、でも真剣にやっている」という描き方ってできるんじゃないかという気がする。
だいたい・・・
登場人物の中で「山の男」に見えるのは、伊藤英明くらいで、後は身体も貧弱だし、どう見ても町の人にしか見えない。
割と重要な役どころである光石研も、どう見たってサラリーマンのおっさんだ。
まあ、演技を優先するためにはしょうがないのかねえ。
唯一山の男に見えた伊藤英明も、相変わらず下手くそで、何を言っているのかわからない場面もいくつかあった。
ただ・・・
長澤まさみは良かった。
以前の舌っ足らずの話し方が消え、感情表現もなかなか良かったと思う。
ある意味、彼女に惹かれて映画を見た私も、そこだけは正解だったのかも?
ということで、随所に出てくる小ネタに笑える部分も少しあったが、何せ展開が雑すぎて、とても感情移入できるものではなかったので、評価もホントは「D」にしたいところを、長澤まさみちゃんに免じて「C」にします。
いや、もっと笑えるかと思ったのに、ホント残念でした!
おまけで・・・
ラストはあれで良かったのかなあ、という気がする。
せっかく「涙の別れ」をしたのに、その直後に戻ってきていいの?と思うわけだ。
『ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を送り出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。あるきっかけで山奥の村で林業に従事することになった都会育ちの若者が、先輩の厳しい指導や危険と隣り合わせの過酷な林業の現場に悪戦苦闘しながら、村人たちや自然と触れ合い成長していく姿を描く。『ヒミズ』などの染谷将太をはじめ、長澤まさみ、伊藤英明、ベテラン柄本明らが共演する
主演は、染谷将太
共演は、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美、マキタスポーツ
その他、有福正志、田中要次、山中淳史、広岡由里子、近藤芳正、光石研、柄本明など
<ストーリー>
大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気(染谷将太)は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキ(伊藤英明)のしごき、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが
久しぶりの映画だが、特に見たいと思うものがなく、「スパイダーマン」や「プリズナーズ」はちょっと重そうだったので、軽い感じのこの映画にした。
しかし・・・
ちょっと軽すぎる・・・
というのか・・・
ネットでは結構評判は良かったのに、いったいどこが面白かったのだろうか、という感じだった。
まず、主人公勇気が林業をやろうと思った動機が変。
不純というのではなく、チラシに載っている女性を見て「わっ、この人に会いたい」と思うヤツなんて、相当頭が弱いヤツだろう。
普通、チラシに載せる女性なんて、モデルか芸能人だからだ。
しかし、まあ実際にいたわけだし、それを否定すると後の話が続かないからいいとしても、そんな頭の弱い男が、あんな林業の厳しさについていけるとはとても思えないのだ。
しかも、そのあたりの描写がいいかげん、というか、あえて省略してある。
最初1カ月の研修も、都会からいいかげんな気持ちで参加したチャラ男には、かなり厳しいはずだが、あっという間に無事終えている。
一度伊藤英明演じる山の男に怒られただけ。
いったいどうやってクリアしたんだか。
そして、その後の1年間の実務体験でも、木に登るシーンなどは、いきなり中段まで登っている描写になっていて、そこまでいく苦労がどこにも描かれていない。
そこまでいけるようになるまで相当大変だったはずなのに、なぜか「ある日突然」できるようになっている。
ほかにもいいかげんな描写が随所にあって、勇気が山の男たちに認められるのも「ある日突然」だし、ヒロイン直紀が勇気を見る目が変わるのも「ある日突然」だ。
あまりにも唐突な展開に、見ていて「はあ?」と思うしかない。
勇気が山の男たちに認められるようになったのも、都会から来た勇気の元仲間たちが、林業を茶化すのを見て、ちょっと激怒したから・・・って、ちょっと安易じゃないか?
スローライフとか何とか言っている元仲間たちも、わざわざ来た割には、本人たちのいる前で林業をバカにするなんて、頭悪すぎ。
あと、中盤で村のガキが山に入って迷子になる展開も、いきなりすぎて「何で?」と思うしかなかった。
山の中の村なんだから、大人たちが普段から厳しく教えているはずだろうに。
あのガキが山に入った理由は、たぶん虫なんだろうけど、いきなり山の中に入っていくので、その後の捜索シーンも緊張感も何もないし、そんな中でなぜ勇気がガキを助け出せたのかも、無理やりすぎてよくわからない。
原作では、そのあたりはきちんと描かれているとは思うのだけど、監督はどうしてそのあたりをいいかげんな形にしたのか、私には理解できない。
でも、一番納得がいかないのは、やはり主人公の描き方だろう。
物語を通して、勇気には「山の男になった」というイメージがまったくない。
顔も浅黒くなるどころか青白いままだし、相変わらずチャラい。
チャラいというより、終始「ヘラヘラしている」の方が正確だろうか。
いつでもどこでも、とにかくヘラヘラ・ヘラヘラ。
最後の重要な儀式の場面も、いくら何をするのか教えてもらっていない、とは言え、まわりの真剣な姿を見れば、あそこまでヘラヘラできないはず。
しかも、ダラダラ歩いていて、前を歩く伊藤英明たちに付いていこうとさえしない。
いや、そんなヤツはいない、と言っているのではない。
もしそんなヤツだとしたら、そもそも林業研修なんかについていけるはずがなく、山の中での生活などできるはずがない、と思うわけだ。
だから、肝心の儀式の場面でも、一人だけ異常に浮いていて、見ていて違和感があってしょうがなかった。
ああいう描き方で笑わせようとしているのだろうけど、少なくとも私にはまったく笑えなかった。
もっと、「相変わらずチャラいのだけど、でも真剣にやっている」という描き方ってできるんじゃないかという気がする。
だいたい・・・
登場人物の中で「山の男」に見えるのは、伊藤英明くらいで、後は身体も貧弱だし、どう見ても町の人にしか見えない。
割と重要な役どころである光石研も、どう見たってサラリーマンのおっさんだ。
まあ、演技を優先するためにはしょうがないのかねえ。
唯一山の男に見えた伊藤英明も、相変わらず下手くそで、何を言っているのかわからない場面もいくつかあった。
ただ・・・
長澤まさみは良かった。
以前の舌っ足らずの話し方が消え、感情表現もなかなか良かったと思う。
ある意味、彼女に惹かれて映画を見た私も、そこだけは正解だったのかも?
ということで、随所に出てくる小ネタに笑える部分も少しあったが、何せ展開が雑すぎて、とても感情移入できるものではなかったので、評価もホントは「D」にしたいところを、長澤まさみちゃんに免じて「C」にします。
いや、もっと笑えるかと思ったのに、ホント残念でした!
おまけで・・・
ラストはあれで良かったのかなあ、という気がする。
せっかく「涙の別れ」をしたのに、その直後に戻ってきていいの?と思うわけだ。
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