映画評701 ~ 蜩の記

今回は「蜩の記」

映画141019

直木賞作家の葉室麟のベストセラー小説を、『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が映画化した人間ドラマ。無実の罪で3年後に切腹を控える武士の監視を命じられた青年武士が、その崇高な生きざまを知り成長していく姿を師弟の絆や家族愛、夫婦愛を交えて描き出す。過酷な運命を背負いながらもりんとした主人公に役所広司、その監視役の青年には『SP』シリーズの岡田准一。そのほか連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希や、ベテラン原田美枝子が共演を果たす。

主演は、役所広司
共演は、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、寺島しのぶ
その他、三船史郎、井川比佐志、串田和美、川上麻衣子、石丸謙二郎、渡辺哲など


<ストーリー>
年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷(役所広司)は、藩の歴史をまとめる家譜の編さんを命じられていた。3年後に決められた切腹までの監視役の命を受けた檀野庄三郎(岡田准一)は、秋谷一家と共に生活するうち、家譜作りに励む秋谷に胸を打たれる。秋谷の人格者ぶりを知り、事件の真相を探り始めた庄三郎は、やがて藩政を大きく揺るがしかねない秘密を知るが・・・


「るろうに剣心」「柘榴坂の仇討」に続いて、時代劇3連発である。

内容的には、一番感動できると思っていた。

しかし、ちょっとがっかりした。


まず、全体的に冗長だった。

主人公・戸田秋谷が、どうやら無実の罪で切腹を命じられたらしい、ということで、その真相に迫るため、見張り役を命じられた檀野庄三郎が走り回り、そして最後には・・・という話だと思っていた。

いや、物語の根幹はそういうことである。

ただ、その間にちょっとダラダラしたエピソードが入る。

いや、もちろんそれらのエピソードが、しっかりしたものであれば、そんなにダラダラ感はなかったのだろうが・・・

まず、子役たちが下手くそばかり。

だから、聞いていて少しイラっとくる。

子供同士の会話だと、ちょっと聞いていられない。

それと、主人公以外に魅力的な登場人物があまりいない。

たぶん、役者のせいだと思うが・・・

青木崇高は、「るろうに剣心」同様、何だかアホっぽいし、重要な役どころである松吟尼も、寺島しのぶを個人的にあまり好きではないので、あまり感情移入できなかった。

堀北真希は、芝居のうまい下手ではなく、特異な顔立ちをしているせいか、存在そのものに違和感がある。

時代劇に出てくる顔ではないと思うわけだ。

良かったのは、原田美枝子と、悪役だった石丸謙二郎くらい。
まあ、石丸謙二郎の出番は少なかったのだが、存在感はあった。


それと、よくわからない展開もいくつかあった。

お寺の和尚が、檀野庄三郎に戸田秋谷の過去を話している時に、急に笑い出したのだけど、あの笑いの意味が理解できなかった。

もちろん、面白いからではなく、かと言って苦笑という場面でもなかった。

また、村人たちのところに年貢取り立ての話に行った代官(奉行?)が、帰り際に村人二人にあっさりと殺されたシーンは、まさかあんなにあっさりと殺されるとは思わなかっただけに、何とも間抜けな感じだった。

だいたい、代官って、村に行く時にたった一人で行くのか?

それと、家族や戸田たちを庇って殺された村人の息子(戸田の息子の友達)も、まるで武士のような振る舞いで、何だか違和感があったし、引っ立てに来た役人たちも、ガキに対してあんなにヒドい拷問とかするのか?


しかし、一番「えっ?」と思ったのは、終盤で、自ら出向いてきた戸田から一発殴られた後、急に改心したご家老・中根兵右衛門だ。

こいつは、そもそも戸田が切腹を命じられるハメになった悪事を画策した一番悪いヤツではなかったのか?

すべての悪事はこいつの周りで起きているわけで、それが一発殴られたからといって、急に善人になるのは、違和感という言葉で片付けられるものではないと思うのだが。

まるで、初めて親から殴られたバカ・ガキが「おやじ、オレもようやく気付いたよ。これからはまじめに働くぜ」と言っているような感じ。

このバカ・ガキにいじめられた連中からしたら、急に善人になられたところで、これまで散々巻き上げられたお金だって返ってこないわけだし。

とにかく、このシーンを見た時には、さすがにびっくりした。

この時点で、評価は「D」にしようかと思ったくらいだ。


しかし、最後のシーンは、さすがにうるっときた。

当初、「もしかして戸田は、無実が証明されて晴れて無罪放免となるのか」と思っていたのだが、そうではなかっただけに、余計にいいシーンだったと思う。

余計なセリフがほとんどなかったのも良かった。


ということで、全体的には「がっかり」の塊だったのだけど、最後のシーンが良かったので、評価は「C」にします。

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