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映画評871 ~ ラプラスの魔女

今回は「ラプラスの魔女」です。

映画180504

『ヤッターマン』の三池崇史監督と櫻井翔が再び組み、ベストセラー作家東野圭吾の小説を映画化した本格派ミステリー。連続して起きた奇妙な死亡事件をきっかけに、その調査を進める大学教授らが事件の真相をあぶり出す。『ちはやふる』シリーズなどの広瀬すずがヒロインを演じ、『ちょっと今から仕事やめてくる』などの福士蒼汰が共演。脚本を、テレビドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」などの八津弘幸が担当している。

主演は、櫻井翔
共演は、広瀬すず、福士蒼汰、志田未来、佐藤江梨子
その他、TAO、玉木宏、高嶋政伸、壇れい、リリー・フランキー、豊川悦司など


<ストーリー>
離れた場所で二つの死亡事件が連続して発生し、両方同じ自然現象の下での硫化水素中毒死だと判明。さらに死亡した二人は知り合いであることがわかり、警察は地球化学の研究者である大学教授の青江(櫻井翔)に協力を依頼する。青江は事件性はないと考え調査を進めていると、そこに円華(広瀬すず)という女性が現れ……


原作は読んでいないが、これは謎解きではなく、SFファンタジーである・・・と思う。

最近は、割と東野圭吾の作品を読むのだけど、時々こういう本来の(?)謎解きではない作品(「ダイイング・アイ」なんて、単なるホラーだ)が結構あり、面白いのとそうでないのと差が大きい(あくまでも個人の感想です)

そういう意味でも、この作品はわけがわからない。

原作がそうなのか、それとも監督のせいなのかはわからないけど、まず大学教授である青江は、今回の作品の主人公にはとても見えない。

なぜなら、「こんなことはあり得ない」「そんなの不可能です」しか言わなくて、殺人のトリック(?)について、一切自分の考えはなく、ただ人の話を聞いて「えっ?そんなバカな」みたいな発言しかしない。

予告編から気になっていたけど、実際見てみて、印象に残ったセリフが、広瀬すず演じる円華が青江に対して言った言葉。

「あんた、見た目よりバカよね」

これが、この後の展開の随所で証明される。

この円華が、突如自分のアパートに逃げ込んできた時に、黒づくめの衣装を着た謎の男女が訪ねてきて「娘を探している」と部屋に入り込むのだけど、円華がこの男女を出し抜いた後、青江に対して「友達を探すのを手伝ってほしい」と言う。

戸惑う青江だけど、この男からは、おそらくほぼ全員が思い付くであろう、この質問が出てこない。

「ところで、あの二人は何者なんだ?」

目の前の女性も謎だけど、それを追ってきた連中は、さらに怪しいヤツらだろう。

それに対して疑問がわかないこの教授に対して、「もしかして、この男はアホなの?」と、まず思ってしまった。

その後、この黒の軍団に連れられて謎の研究所に行った時、ようやくこの娘の素性がわかるのだけど、極秘事項をベラベラとしゃべる円華の父親の元から去る時、円華が研究所から逃げ出したところに遭遇する。

しかし、この男は驚くわけでも、「いかん、助けなければ!」と思うわけでもなく、ただぼ~っと見ているだけ。

そして、円華が自分の乗っているエレベーターに乗り込んできた時も、何もしない。

さらに、車で逃げようという段になっても、すぐ後ろに黒の軍団が迫っているというのに、まだほ~っとしていて、円華から「早く!」と怒鳴られる始末。

何なんだ、このボケ具合というか、緊張感のなさは。

おそらく本来の設定であるに違いない頭の良さが、どこにも現れていないので、何でこんなのが主人公なのか、さっぱり理解できない。

まさに、櫻井翔の見た目通り、「あんた、慶応出てるらしいけど、思った以上にバカだよね」という感じ。

監督がそのように指導しているのなら、それはそれで問題だけど、やっぱり櫻井翔の演技力のなさじゃないの?

その点、実質の主人公である広瀬すずの方が、演技力の点では、櫻井より数倍上。

ただ、もう一人の主人公(準主役?)である福士蒼汰の演技力のなさは、ここでも発揮されていた。

ついでに言うと、リリー・フランキーも、役どころとしては、ボソボソしゃべるセリフしかないので、演技力のなさは露呈しないけど、そもそもあんな国家機密を、その辺の大学教授にベラベラとしゃべるなんて、少し軽薄すぎる。

つまり、物語の前提以前に、登場人物の誰一人として感情移入ができる人、存在感のある人がいないので、見ていてツラい。

唯一存在感があると思われた豊川悦司も、後半は自分に酔ったようなセリフを連発するので、これまた聞いていてツラい。


それで、内容だけど・・・

SFファンタジーとして見れば、そこそこだとは思うけど、そもそもの能力である瞬間的な物理計算能力が、何だか意味不明。

それを最低限認めるにしても、それと「未来予測」とは、まったく関係ないのでは?

せいぜい直近の天気を予測できる程度ではないの?

それはそれでスゴいにしても、手から振り下ろしたサイコロの目を当てる、という技も、振り下ろす自分が当てられるのは、まだ理解できるが、それを見ている他人(この場合は、円華と一緒に実験していた甘粕謙人)まで計算できるのはなぜ?

振り下ろす力加減までわかるわけないじゃん。

さらに、飛ばした紙飛行機が、自分のところに戻ってくる、というのも、まわりの人の動きがどうなるのか予測できるわけがないのだから、ちょっとした気流の動きで紙飛行機の動きなんか、かなり左右されると思うだけに、あれだけの長距離について予測するのは、ちょっとムリがあるのでは?

まあ、すべてを「超能力」として片づけるのであれば、それもいいのだけど、だとしても、青江の存在がほとんど意味がないのは変わらない。

しかも、この超能力が物語の始まりである「硫化水素による殺人」についての証明にはなっていないのが悲しい。

つまり、例え硫化水素の流れが予測できたとして、殺そうとしている相手を、その場所に一定時間立たせる(座らせる)ことの方が難しいのではないか、ということ。

少なくとも、自分が一緒にその場所に誘導しない限り、相手も不信感をいだくのではないだろうか。

ただし、自分はそこにいてはいけないのだ。

犯人「あの場所にアンタの欲しいものがあるよ」
被害者「どこだよ」
犯人「ほら、そこだよ。もうちょっと右。そうじゃない、右だって」
被害者「何だよ、よくわかんねえよ。ここにきて教えてくれよ」
犯人「いや、オレは行けないんだ」
被害者「はあ?」
犯人「まあ、いいじゃないか。そう、そこだよ。じゃあ、そのままちょっと待ってて・・・」
(犯人は、急いで硫化水素の入った容器を準備するのであった。ただし、自分に降りかかってはいけないので、防毒マスクをするのも忘れない)
被害者「ん?何やってんだ?」
犯人「えっ、何でもないよ」
(以下略)

原作ではどうなっているのか気にはなるが、改めて読もうとは思わない。

とにかく、原作にはそれなりのファンがいるらしいけど、少なくとも未読の者にとっては、何がなんだかさっぱりわからない展開でした。

ということで、あまり楽しめませんでしたが、途中までは少し期待感があったのと、最後も「はあ?」というほどヒドくもなかったので、評価は「C」にしておきます。


細かいところで、個人的に気になったところ。

冒頭に出てきた殺害場所である温泉地。

あれって、東京都のどこかにあるの?

何が言いたいって、事件の捜査にきた玉木宏演じる刑事が「警視庁麻布署」と名乗っていたので、「えっ?」っと思ったわけだ。

麻布署って、東京都港区なんだけど、その管轄内に温泉地ってあったかなあ、と思ったから。

つまり、管轄外の刑事が、何でまたこの事件に首を突っ込んできたのかと思ったわけ。

例え、被害者が東京都港区に住んでいる人間だったとしても、そう簡単に管轄外のところに勝手に入っていけないだろう。

もしかして、西村京太郎みたいに「警視庁は、東京都の警察ってことくらい知っているけど、ほとんどの素人はそんなこと知らないから、この際警察の本社部門くらいの位置づけ(実際は、警察庁がそれにあたる)にしておいて、警視庁の刑事は全国どこでも好きなように飛び回るようにしてやれ」みたいな感じで、軽~くそういう設定にしたの?

しかも、「麻布署」って、これまた「ちょっとカッコよくない?」程度のノリで設定したのだとしたら、東野圭吾は許さない!?
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